地域貢献度No.1クラブ6年連続受賞中、川崎フロンターレの仕掛けと集客術

講座レポート

  • 対象講座
    スポーツチームだから出来るコト~感動と熱狂の裏側③~
  • 日時
    2017年1月29日(日) 15:00~17:00
  • 会場

    TKP新宿ビジネスセンター 11Fスカイ会議室

    東京都新宿区西新宿2-3-1 モノリスビル11F

  • 講師/ゲスト
    吉田律史詳細
  • ナビゲーター
    仲島 修平詳細

地域、街の象徴であるスポーツチーム。
本日のゲストはJリーグにおける地域貢献度No.1クラブ6年連続受賞中の川崎フロンターレからチケット担当の吉田氏がご登壇!!
吉田氏は本講義でMARS CAMP4回目のご登壇!
本講義では吉田氏に、地域貢献度No.1クラブ6年連続受賞のクラブとしての仕掛け、人・企業・地域に対してのチームのあり方をメインに迫って参ります。

まずは、吉田氏と川崎フロンターレについてご紹介。
吉田氏はアルバイトから川崎フロンターレにジョイン。会社として成長期となるタイミングでアルバイトから社員に登用されたご経歴をお持ちで、現在はチケット担当として多くのお客様に来場していただくための施策を企画するまさにチームの集客の鍵を握るお方。

そして2015-16シーズンのJリーグにおける川崎フロンターレは、地域貢献度6年連続No.1、1試合平均過去入場者数No.1、年間順位3位、天皇杯準優勝と、吉田氏が担う事業サイドとしてはクラブとしての人気の高さと地域貢献度の高さが結果と現れたものの、強化サイドとしてはタイトルまであと一歩と悔しいシーズンに。

吉田氏は「20年目を迎える節目の年で、チーム全体でタイトルを掲げ頑張っていたものの、実際には悔しいシーズンとなりました。しかし、事業サイドとして昔からやってきたことが積み重なって地域の貢献度1位と思ってもらっている、特に関東近辺の中でそう思ってもらえることは非常にありがたいことですし励みにもなります。クラブがJリーグ理念として地域貢献、社会貢献という部分がやれているなと感じており、そういうこともあって行政も街も協力してくれているので、他の地域ではなかなかないのではないかと思っています。」とまさに当事者としての肌感覚をそのままお話いただきました。

クラブ全体の営業利益の推移も2013年から2015年シーズンで約10億円の収入増。ハード面の刷新も行い、さらなる観客動員目指した施策が期待されています。
また、現在はDAZN社がJリーグの放映権を獲得し、Jリーグ全体で放映権の分配金についての期待、懸念含め注目が集まっています。「事業サイドとしては様々な試行錯誤が必要だと感じています。」と吉田氏が解説し、シーズンの勝敗数も加味して事業サイドは意思決定していくことが重要であると言えます。
地域貢献に関してさらに掘り下げると、スポンサー企業数は約1200社以上とJリーグの中でも随一。そのスポンサー構造はJリーグの中でも見本となっており、そのスポンサー企業数の多さから地域営業力の高さ、地域に愛されるクラブである理由がわかります。

施策を作っていく体制がわかってきたところで、ここからさらに地域を熱狂させる企画の作り方、スポーツチームとしての価値提供術について仕事のリアルへ迫ります。

まずは1試合平均過去入場者数No.1となった最高動員数の作り方について。
吉田氏は過去最高入場者数がなぜ達成できたのか、要因分析をしていただいたところ、
① 戦績
② 法人営業
③ 年間チケット
④ 企画
の4つの要因を挙げていただきました。

勝ち負けはチケットの売上に直結するものの、事業サイドとしては戦績に影響されない集客を作っていくことが課題。吉田氏は「昨年はクラブの過去最高入場者数を作ることができましたが、要因として戦績はもちろん、戦績に左右されず集客をするためにどうするか考え、顧客情報と照らし合わせて今まで来たことのない新規顧客の開拓やリピーターを増やすための施策を行いました。クラブとしては家族観戦を増やすことを意識して行っており、スタジアムでのイベントは家族で楽しめる、子供が楽しめるようなものにしたことで家族観戦の割合を増やすことができました。」と解説。2012年以降の新規顧客の割合増加や、家族観戦の割合増加、法人向けチケット、年間チケットの販売が多いことなどがまさに入場者数に直結していると言えるでしょう。

その中で、2016シーズン企画の一例として挙げてくださったのが「宇宙強大2DAYS」企画チケット。
クラブ創立20周年の目玉として発表された一大宇宙プロモーション「宇宙強大」は、川崎フロンターレ・宇宙兄弟・JAXA宇宙航空研究開発機構の3者トリプルコラボの企画で、Jスポーツチームと民間、行政が行ったまさに一大企画。特に、2日目の「宇宙スター☆ジアム」では、宇宙飛行士大西卓哉氏との生交信や、「宇宙兄弟#0」の上映、各種企業との体験イベント、限定ユニフォームやグッズの販売などがなされ、まさに多くのステークホルダーと作り上げた大仕掛け。
吉田氏は「こういったスポーツチームの企画に行政と自治体をうまく絡んでいくことで、メディアへの露出はもちろん公共性を高めていくことができます。チーム側としても、行政や自治体と協力して行うことで影響力の高い施策を作り上げることができますし、今後も川崎フロンターレとして面白いものを作り上げていきたいですね。」とお話しいただきました。
さらに企画に関する例として、「アウェイツアー」についてご解説いただきました。
吉田氏は「フロンターレの場合は、クラブのスタッフ全員が面白いこと楽しいことをどんどん仕掛けていきたいと強く思っていて、ホームでの試合に関しては各種イベントをもちろんやっていますが、サポーターの方がスタジアムに来て、試合を見て、選手に声援を送って欲しいというのがサッカーチームとして忘れてはいけないことと考えて、ホームだけでなくアウェイの試合でも多くのサポーターの皆様に現地で選手を応援して欲しいと思っています。」とご解説いただきました。
イッツ・コミュニケーションズ社やJA全農福島のパートナーに協力いただきながら行った稲刈りツアーは、アウェイ観戦をしたのち、福島で稲刈りを体験してもらうといったツアー付きチケットで、アウェイ観戦にも付加価値をつけ多くのサポーターに応援に来てもらう施策となっています。
他にも、チケットを買うと限定グッズがもらえるものやビールがついた企画チケット、また女性向け企画チケットなども各種行ない、様々な企画チケットを手がけることで新規の顧客開拓やロイヤルティの向上が期待でき、スポーツの価値を多くの方へ感じてもらうためのきっかけになっていることでしょう。
また、若年層のサッカーへの興味関心を惹くための施策として行なったSNS上での入場者数の発表に若年女性を起用。サッカーを観に来るきっかけやサッカーを好きになってもらうきっかけを作ることができ、今後サポーターになり得る顧客の獲得に繋がったとお話しいただきました。
また法人に対しての価値提供としては、「スポンサーメリットを引き出し、クラブの集客を生み出せるような企画を作っていくことが重要です。」と吉田氏はご解説。
無料招待や会員獲得をただするのではなく、企業にチケットを買っていただくと同時に、スポンサーのPRを行うことができればスポンサーにメリットを提供しながら、なおかつ入場者数増につながる。ファンマーケティング活動の一環としても今後の動きにさらなる連動感が期待されます。

川崎フロンターレが考えるステークホルダーとして今後のリアルでは「企業の総務部、CSR部」を一例として挙げていただきました。
吉田氏は「きっかけ作りとかなぜそのクラブを応援するのか、なぜフロンターレなのかという部分を企画書に書いて伝えることや、サッカーを好きな人をこういった部署で見つけたりしています。スポーツを通じて、違った場面で見せられるというのは非常に大事だと思いますし、そういった方々がフロンターレを使って自分の部署をPRしたいと思ってくれるような施策をもっとしたいなと思います。」とご解説。人との繋がりや、課題解決はスポーツをビジネスにしていく上で必須。吉田氏のお人柄と仕事を進めるヒントが垣間見えるものとなりました。
そんな吉田氏のProfessional!仕事の流儀は「人との付き合い、出会い」。
吉田氏は「どんな仕事でもそうだと思うのですが、人脈・出会い・タイミングなどは本当に大切で、どんなに良い企画書であっても聞く相手が興味なければ全く響かないですし、逆にフロンターレが好きだったりすると仕事が決まることもよくあります。面白いものを作り、対話できる人脈・出会いというのはとても大切にしています。」とご解説いただきました。スポーツ業界は人脈がとても大切ということがわかると同時に、受講生にはこれから人脈がどう仕事に繋がっていったのかも分かりやすく伝わったのではないでしょうか。
地域貢献度No.1の川崎フロンターレが考える価値提供術、様々な仕掛けに迫った本講義も気づけば2時間があっという間に終了!
そんな川崎フロンターレで地域に対し価値提供するなどご活躍中の吉田氏に、受講生へラストメッセージを頂戴しました。
「2時間こちらから一方的に話すのではなくて、ぜひこの後も含めてお酒を飲みながらお話しして交流しましょう!私にもプラスになりますし、MARS CAMP生の皆さんと『あの時お話ししましたよね!』なんて数年後声かけてくだされば仕事につながるかもしれませんし、今も実際に仕事にしています。ぜひ交流しましょう!本日はありがとうございました!」

熱量タップリにお届け頂いた吉田氏の講義に受講生からは
◎Jリーグクラブの中で、事業上の仕掛けでも話題になるフロンターレの裏側を知れて大満足の講義でした!
◎企画の仕事がやりたいと思っていましたが、吉田さんのお話を聞くと自分の考えの甘さを実感させられました。でも多くのステークホルダーを巻き込んだ企画が作れるようにもっともっとスポーツ業界を広く学ぼうと思いました!
◎ファンとして様々スタジアムに行き、ビジネス的な視点も持って観戦するようにしていましたが、それだけでスポーツ業界の仕事を理解することは難しいと改めて感じました。交流会も含めて直接仕事をしている人に話を聞きに行くようにします!
◎最後のラストメッセージが胸に突き刺さりました。スポーツ業界に入るのは難しいのでは無いか。そう思って諦めかけていましたが、吉田さんのお話を聞いてまだまだやれることがあると気付くことが出来ました!
◎人脈が大事、人脈が大事・・・と言われている真意が十二分にわかりました。
など、次へのアクションの活力につながった様子。

人との付き合い、出会いを大切にする吉田氏ならではのラストメッセージ。
交流会はゲストの方へ講義ではなかなか聞けないことを、ざっくばらんに聞くことのできる場所。受講生には最前線でご活躍のゲストの方々と実際にお話できること、縁が持てることの”凄さ”をより感じてもらい、交流会の更なる活用方法を考えて欲しいと思います。
出会う機会を増やし、情報と力が引き出しになれば形にできる機会が増える。今後、吉田氏や講師陣のように最前線でご活躍中の先輩方と一緒に仕掛けることを一つの道標として、インプットもアウトプットも磨きあって頂ければ幸いです。

講師/ゲスト

株式会社川崎フロンターレ
サッカー事業部 営業部 チケット&グッズセールスグループ チケット担当

吉田律史

1981年生まれ 城西大学卒業。
2006年10月から川崎フロンターレのアルバイトとして働き始め現在に至る。
 入社後は営業を担当し、数多くの企業様との取引を担当。2014-15シーズンよりチケット担当として集客業務を担う。

08年まで企業の外部人事部機能を担い、企業経営における人材開発・採用戦略の立案・導入を行う。08年よりMARS立ち上げ参画。アスリート・プロチームのマネジメント、スポーツイベントプロデュースなど、社内事業を横断的に従事し、10年より立ち上げた、「MARS CAMP」商品企画・広報も担当。新卒・中途共にスポーツ業界内企業の外部人事部として活動しながら、体育会系人材の就職支援やアスリートと企業を結ぶセカンドキャリア支援など、スポーツとキャリアをトータルでプロデュースする。