清水エスパルスと地域を繋ぐ術、個人・企業・自治体を繋ぐ指定管理事業の影響力

講座レポート

  • 対象講座
    この街を1つに~スポーツが繋ぐ地域の輪~②
  • 日時
    2017年3月22日(水) 19:20~21:20
  • 会場

    TKP新宿ビジネスセンター 11Fスカイ会議室

    東京都新宿区西新宿2-3-1 モノリスビル11F

  • 講師/ゲスト
    薗田 稔詳細
  • ナビゲーター
    仲島 修平詳細

スポーツを仕事にしたいと考える人の中でも、「自分の愛する地域をスポーツのチカラで盛り上げたい!」そんな言葉を耳にする機会が増えてきている昨今。地域にとってのスポーツの価値を生み出し、最大化を図る上で、キーファクターとなる行政・自治体をはじめとした“地域”の登場人物と手を取り合い、地域施設を指定管理者として活用する動きがスポーツ業界では活発化しています。

そんな中、今回の講義は遠路はるばるサッカー王国・静岡からJリーグのオリジナル10である清水エスパルスより経営戦略室グループリーダー兼・施設管理部部長の薗田氏がご登壇!!

本講義では、スポーツチームとして指定管理事業を推進する薗田氏に、スポーツチームと地域を繋ぐ術と清水エスパルスの指定管理事業のリアルな影響力について迫ります!

薗田氏は現在、清水エスパルスで指定管理事業のキーマンとしてご活躍中ですが、大学卒業後からスポーツ業界の世界に飛び込み、サンフレッチェ広島、大分トリニータなどクラブスタッフとしての業務に従事。前職でもNPO法人湘南ベルマーレスポーツクラブの事務局長としてもご活躍されていました。

「高校時代からスポーツマネジメントの世界を目指していました!」との言葉通り、今では業界内でその手腕を振るわれており、スポーツチームの指定管理事業の先駆者といえば薗田氏!と言えるほど地域に対して高い影響力を与えられる方です。

そんな薗田氏より、まずは清水エスパルスのご紹介を頂きました

Jリーグにおける清水エスパルスの位置づけについて、強化費・広告収入・入場料収入・マーチャンダイジング(MD)などの数字を元にご解説頂きましたが、清水エスパルスの特徴として、広告収入だけには頼らない経営方針をとっており、MDの事業領域ではJクラブ最多となる計5店舗のグッズショップ運営を行い、2015シーズンでは18チーム中6位にランクインするなど、その展開に注目が集まります。

その中で薗田氏は、経営戦略室・施設管理部長として清水エスパルスの事業計画の策定などを行う経営戦略部門と、スポーツ施設の経営及び受託運営並びに管轄を行う施設管理事業を行なっています。

清水エスパルスでは、「S-PULSE VISION 2017」を掲げ、営業・事業方針として「対面営業力」「数値による目標管理」「情報統制の継続進化」を強化。ホームタウンである静岡市にて、外郭団体である静岡市まちづくり公社(以下公社)と連携し、薗田氏は指定管理者として地域における清水エスパルスの存在の最大化を推進し、施設を活用。より多くの方々を巻き込む施策を打ち出しています。

清水エスパルスの指定管理事業に関しては、今年で2年目。公社との共同事業体で5つの施設を運営しています。さらに仕事のリアルパートではいかにして静岡市、静岡県へ普及活動を行っているか、施設を活用して交流人口(人と人とのつながり)をどう作っていくのか、リアルな施策の背景に迫ってまいります。

まずは普及活動の中のサッカースクール事業について。
静岡県はプロチームが4チーム、JFLに1チームとまさにサッカー王国。サッカーの普及という面で行くと、清水エスパルスのサッカースクール事業は、JクラブでTOPクラスの4000名を目標に展開しています。MARS CAMPの卒業生が活躍中のアスルクラロ沼津や藤枝MYFCなどが誕生して以降、清水エスパルスが行うサッカーの普及活動にはさらに力を入れているようです。

その中で、指定管理施設では大会やマッチメイキング、企業向けのイベントを実施。
また、全施設に屋根がついており雨の中でもボールを蹴られる環境が備わっており、雨の日の施設の利用量を増やすことができているようで、サッカーの普及活動を目的とした施設管理との連携した取り組みが期待されます。
自社で施設を管理することによって、スポーツチーム内でスムーズに事業を行うことができるメリットや、利用料もチームの収益とすることが可能となり、指定管理事業は、チームの価値最大化、県との連携の最大化をさらに促進する事業と言えるでしょう。

その主戦場となる行政の関係者に関して薗田氏は、「行政はこれまで、まずは管理・運営をしていれば良いという考えでしたが、現在は新しい風を吹き込もうと、私が行ったイベントや行政の方々が行ったイベントのように、積極的に新しいことをしていこうという意識に変わっています。それに伴い運営する会社の部署である施設管理部の雰囲気も変わりました」とご解説。スポーツ施設を活用して地域に改革を行おうという動きの中は、清水エスパルスとしての気概を感じます。

清水エスパルス及び静岡市の指定管理事業のテーマに「『市民一人1スポーツ』の実現」を掲げ、1.生涯スポーツ社会の実現、2.市民スポーツ活動の推進、3.地域スポーツの育成を目指して指定管理事業を行っています。ここで、指定管理事業をする上では多くの登場人物との折衝機会があり、薗田氏は「刺さる言葉が必要」とご説明。

また、薗田氏は、「清水エスパルスでは、「CS(Customer Service)会議」「利用者会議」を設置し、成功体験の共有や利用者からの要望を吸い上げ、利用者ニーズを反映した施設の運営を推進しています。さらに地元企業や静岡市体育協会などの団体、そして地域が清水エスパルス及び静岡市まちづくり公社と連携することが「市民一人1スポーツ」の実現には必須です。」とご解説。

地域をスポーツで繋ぐためには、地元企業や地域団体、市民との連携が絶対条件。
Jクラブとしては、地域の支えがあってこそ成り立つという考えのもと、興行の開催は地域のイベントや行事等と避けて行うようになっており、地域の力を最大化するためにも必要なことであると言えるでしょう。また、施設の熱中症対策、怪我の対策、災害対策などを含め、防犯対策や安全対策も万全にし、利用者にスポーツを楽しんでもらうための環境づくりは施設を運営していく上は専門的な知識が必要であると言えます。スポーツをする人とスポーツをしない人の二極化が進んでいる中、健康増進、スポーツ普及、生涯スポーツ、競技を充実させるために教室事業の充実。スポーツチームである清水エスパルスだからこそ提供できる各種プログラムの実施をしています。

また、地元新聞社やマスコミ各社のご協力のもと情報発信や広報活動に力を入れられるのが清水エスパルスならでは。地域の方々に有益な情報を発信することが地域の方々にとって良いこと、そしてスポーツチームだからこそできることであると考えると、エスパルスのネットワークからの発信は今後も地域にとって求められる分かりやすい武器になるでしょう。

施設を活用し、スポーツチームと地域を繋ぐためにはどうするのか?
薗田氏は続けて、「スポーツで地域の輪をつなぐために、市のさらなる利用を促すイベント・プログラムや、多くの利用を呼び込む多彩な広報と新規利用者を呼び込み継続利用を促す魅力向上のための施策、事業を行い、今チームとしてできること、そして今後の清水エスパルスへの期待値を形にしていくことが大切であると思います。今のエスパルスには新しいものを作っていくことが求められます。」とご解説。

薗田氏が考える地域における指定管理者としての姿を共有していただき、さらなる清水エスパルスの施策や地域との連携に期待が高まります。また、指定管理事業という立ち位置でスポーツと社会を結ぶ方々が業界内で増えており、地域のキーマンとしてご活躍中。受講生の今後のスポーツ業界との関わり方に「指定管理者」という選択肢もまだまだ生まれてくることでしょう。薗田氏の働き方を見ていると、指定管理という立場でも、スポーツを楽しむ人々を増やし、スポーツをする人が増え、さらに健康な人が増えるといった流れを作ることが出来ることが理解できたのではないでしょうか。地域における指定管理者の存在をより大きくし、価値を生み出していく継続的取り組みに今後も目が離せません。

今後のリアルパートでは、清水エスパルスがつなぐ地域の輪を更に広げていくためのスポーツ業界内のキーマンとして、「自治体」「地元企業」「総合型」を挙げていただきました。ここまでの薗田氏のお話を踏まえて聞くと、いかにこれらの登場人物が大事かを改めて再認識することにつながった受講生も多かったのではないでしょうか。スポーツを通して地域全体にどういう価値を提供していくのか、地元企業、自治体との協力は欠かせません。

そして、指定管理者として地域の方々にスポーツの価値を提供する薗田氏のProfessional!仕事の流儀については「点と点をつなぐ」を挙げていただき、「こういうことをしたい!という人の想いをどう繋いでいき、どう太い線にしていくのか。そしてその太い線が野球のボールのようにサッカーボールのようにどう繋ぐ球になるか。人との関わりの容積を大きくしていくことが自分に与えられた仕事の意味なのではないかなと思います。」とご解説。人とのつながりを大切にしてこられた薗田氏ならではのお言葉。受講生の皆さんにも大切なヒントになったのではないでしょうか。

この日の講義を受講した方からは

  • 同じスポーツチームの仕事や、同じ指定管理の仕事でも、事業を展開するエリアや立ち位置によってこんなにも地域から求められるものや、影響力が変わってくるんだと思いました。半年間受講してきましたが、まだまだ知らないことの方が圧倒的に多いと気付かされました。
  • 自分の出身地域をスポーツで盛り上げたいと思っていましたが、具体的な手段とその仕事の関わり方について知る機会がほとんど無かったので、薗田さんの講義はいつもの倍、メモらせて頂きました。(笑)
  • スポーツチームでインターンをしていると地域の影響力の大きさを体感する機会が多いですが、競技は違えど、その地域と良好な関係を作るための施策は変わらないと考えると、もっと別競技から学ぶことの重要性も感じました。
  • 以前、MARS CAMPの講義で指定管理について学んだが、その情報も踏まえて今回の講義を聞くとまた学びのポイントが変わることをたった今実感しています。継続して学び続ければもっと自分の力になりそうだと感じました。

などなど、半年間の学びの積み重ねを実感する一方で、新たな視点も手にしていた様子です。

遠路はるばる静岡からお越しいただいた薗田氏の2時間の講義も気づけばあっという間に終了。
最後に薗田氏から受講生にラストメッセージを頂戴しました。
「スポーツに関わる一人として純粋にここにいる皆さんと一緒にスポーツを盛り上げていきたいなと思います。もし何かございましたらお気軽にお声がけください。実は…皆さんのOBであるMARS CAMP生の方々とは、既に業界内の色んな場所で一緒に仕事をしておりまして、そういう人たちに皆さんがなっていくと思いますので、メールアドレスでもなんでも聞いていただいて構いません!逆に皆さんにもアドバイス頂ければと思います。ともにスポーツ業界を盛り上げていきましょう!」

これまでスポーツ業界を渡り歩いた薗田氏のお言葉。
過去受講生だったMARS CAMP OBと一緒にお仕事をされているという薗田氏のお言葉通り、間違いなくゲストと受講生が今後一緒になってスポーツ業界に価値を提供する日がきます。人と人をつなぐ・点と点をつなぐという薗田氏の流儀のように、受講生もこのご縁の意味と言葉を噛みしめて…今後も切磋琢磨してほしいですね。

講師/ゲスト

薗田 稔

株式会社清水エスパルス
経営戦略室 経営戦略グループリーダー 兼 施設管理部長

薗田 稔

1971年生まれ、茨城県出身。
日本体育大学卒業後、サンフレッチェ広島に入団。トップチーム副務、サッカースクールコーチ、
吉田サッカー公園の施設管理運営業務に従事。
2003年より大分フットボール入団。U-18コーチ、トップチームマネージャー、ホームタウン推進事業、練習場の施設管理運営業務に従事。
2007年より湘南ベルマーレに入団。サッカースクールコーチ、ホームタウン推進事業、指定管理業務に従事。
2008年よりNPO法人湘南ベルマーレスポーツクラブ事務局長。
2012年より平塚市スポーツ推進審議会委員。
2015年より清水エスパルスに入社。経営戦略室 経営戦略グループリーダー 兼 施設管理部長として指定管理業務に従事。

08年まで企業の外部人事部機能を担い、企業経営における人材開発・採用戦略の立案・導入を行う。08年よりMARS立ち上げ参画。アスリート・プロチームのマネジメント、スポーツイベントプロデュースなど、社内事業を横断的に従事し、10年より立ち上げた、「MARS CAMP」商品企画・広報も担当。新卒・中途共にスポーツ業界内企業の外部人事部として活動しながら、体育会系人材の就職支援やアスリートと企業を結ぶセカンドキャリア支援など、スポーツとキャリアをトータルでプロデュースする。