公共施設を活用したスポーツイベント開催!大相撲町田場所はいかにして実現したのか?

講座レポート

  • 対象講座
    この街を1つに~スポーツが繋ぐ地域の輪~①
  • 日時
    2016年11月17日(木) 19:30〜21:30
  • 会場

    TKP新宿ビジネスセンター

    B1B(大)会議室

    東京都新宿区西新宿2-3-1

    モノリスビル地下1階

  • 講師/ゲスト
    岩橋潤二詳細
  • ナビゲーター
    仲島 修平詳細

スポーツで地域の輪を繋いでいくための重要な動きとなる官民連携において公共施設の活用が求められています。
地域をスポーツで繋ぐ当事者として、民間企業として公共施設受託事業を運営する株式会社ユナイテッド・ワンから岩橋代表取締役CEOにお越しいただきました!

岩橋氏はMARS CAMPに過去3回ご登壇され、今回で4回目のご登壇!そんな岩橋氏に、公共施設を民間企業が管理・運営する制度である「指定管理者制度」をメインに、指定管理者として施設を管理・運営するノウハウと価値提供術について2時間たっぷりと迫って参ります。

まず、岩橋氏について簡単なご紹介からスタート。
岩橋氏は米国の大学を卒業後、米国法人スポーツ医学研究所にて理学療法を用いたスポーツ傷害疾患対応を行い、帰国後は大手スポーツクラブにて新規事業所立上げに従事。その後、スポーツ事業運営会社にて14年間、スポーツクラブ事業、 メンテナンス事業、スパ事業、公共施設受託事業、海外事業、スポーツ家庭教師事業など多岐にわたる新規事業の企画、開発、立上げ及び事業買収の総責任者として、事業・収支計画やプログラム開発の指揮、監督をされ、現在は株式会社ユナイテッド・ワンのほかに、その他4社でスポーツの仕事をされています。
その経歴を活かし、現在はまさにあらゆる立ち位置からスポーツを地域に提供しています。
本講義は、岩橋氏がメインで行ってきた民間企業が公共施設の管理・運営を行う制度「指定管理者制度」について迫ります。

その前に、国のスポーツに関する行動指針として「スポーツ基本法」や「スポーツ基本計画」、「スポーツ立国戦略」など、スポーツに関連する法律・法規についてまとめてお話しいただきました。

岩橋氏は、「これらの法や指針を覚える必要はありませんが、スポーツ関連の事業を行う上で、国が示すこれらの行動指針をもとに事業を行っていくことが重要であると思います。」と、華やかなイメージのあるスポーツ業界での仕事をしていく上で、見落としがちな重要な視点を植え付けてくださいました。

なお、スポーツ庁は2016年に「スポーツ未来開拓会議」を行い、現在約5.5兆円のスポーツ市場を、2020年で約10.9兆円、2025年で約15.2兆円に拡大すると発表され、スポーツに対する機運が高まっています。法的整理が行われスポーツに注目が集まる中で、スポーツ業界での活躍を目指す受講生はまさにその未来を創っていく当事者であり、岩橋氏がお話されたように国の動向や方向性について注目しながら、仕事へのイメージを作っていくことが業界人となる上で必須と言えます。

また、岩橋氏はキーワードとして「公共サービス基本法」を挙げました。
「公共サービス基本法についてほとんどの法律家は知らないと思います。これは、公共施設及び公共を担う自治体の職員も利用者目線に立ちサービスの概念を持つこと、を法律で謳っているものです。そして、民間側もその視点を持つこと、つまり官民で公共施設を管理・運営しましょうということになります。」とお話しいただきました。

そして、公共施設を民間に開放していく動きから、同時に民間のノウハウを自治体の管理する公共施設の管理・運営を行うもので官民連携の形として注目されるものが指定管理者制度。

旧制度である管理委託制度と指定管理者制度の違いおよびメリットは、
・効率的な管理・運営による運営費削減
・質の高いサービスによる利用の増加
・ニーズに合った事業実施による収入の増加
であり、指定管理者制度の導入により将来的に更なる効率化による経費削減、利用増大、自主事業増設などによる黒字化が期待できるといえます。

では、その指定管理者制度をどのように活用していけばよいのか、仕事のリアルではその活用方法と価値提供術についてさらに迫って参ります。

岩橋氏は、町田総合体育館を例に、その活用方法についてお話しくださいました。
「公共施設のメインとなる事業は『施設を貸すことで収益を上げる』ような事業。そこで、町田市出身力士がいることから町田市総合体育館を活用して『大相撲 町田場所』を企画しました。指定管理者と協力し大相撲町田場所実行委員会を立ち上げ、後援に地場の連合、団体に入ってもらい公共性を担保することで、営利性ではなく公共性の高いイベントを作り上げることができました。」と、岩橋氏は言い、収益も生み出しつつ公共性も発信するという、バランスが重要であると考えられます。

また指定管理者制度において、収益を施設の改修費や、その地域の人が健康的な人生を送るための費用として利用し、地域のお金を地域に還元する循環を生み出すことが、より重要であると岩橋氏は強調してお話しされました。

他には、町田市が障害者スポーツに注目しているという背景から、ブラインドサッカー協会と協力して「ブラインドサッカー ドリームマッチ2016」を行うなど、様々な活用がなされています。

また、有明テニスの森の活用として、「東京有明国際女子オープン」という女子テニスの国際大会を開催。来たる2020年の東京五輪を見据え、世界レベルの女子テニスプレイヤーが日本に来てテニスをする環境を作り、4年後に有明に選手が戻ってくるというストーリーで、施設を活用しています。

また、「安藤証券オープン」を自主事業として有明テニスの森で開催。岩橋氏はこの大会について「私の役割は、この規模の大会を有明でやるということに意義を見出すこと、そしてスポンサーに対してのメリットを生み出していくことが求められています。」といい、自治体そしてスポンサーに対し価値提供をしていく上で重要となる視点をお話しくださりました。

指定管理者の立場で、スポーツを通して社会に対してどのように価値を提供していくか、また価値を提供していく上で自治体や民間企業と連携してその価値をどのように最大化していくのか、という視点はスポーツ業界というステークホルダーが多い業界において重要であるといえるのではないでしょうか。

ここまで指定管理者制度を活用し、スポーツで社会に価値を提供している立ち位置での今後のリアルとして、「資金の活かし方」を今後のキーポイントとして挙げていただきました。

「有明について一般社団法人と民間企業がタッグを組み、チームとして指定管理をしていく中、収益の減少は死活問題。その資金をどう活かしていくかが今後のキーポイントであると思います。五輪を見据えた施設の改修が進むとその期間は使用できないため、収益が生み出せないといった問題があるので自治体との協力がポイントです。」と現在問題視されている五輪の会場改修に絡め、現場レベルの見解をお話しいただきました。

そしてProfessional!仕事の流儀として「事業展開に活かすべき公の場であるという意識」とお答えいただきました。

「指定管理者や地域をテーマにしている中で、転換期である今の事業展開をチャンスとし、指定管理者の立場でこれまでにないものも含め様々なことを仕掛けていきたい。」と、スポーツを通して社会をよりよいものにしていくという気概を岩橋氏から感じられました。

当日講義を受講した、受講生からも

◎イベントの仕事に興味がありましたが、施設側の立場でイベントの企画設計から実行に関わる働き方は全く知らない形でスポーツの仕事の選択肢が増えました!
◎五輪にも間違いなく関わる施設の仕事や、そもそもの指定管理制度についてなど、実際に事業として形になった具体例も含めて話を聞けてイメージが付きやすかったです。
◎スポーツで地域を活性化させる仕事に興味を持っていて、その手段を自分なりに勉強していたつもりでしたが、今回のお話を聞いて現場のリアルを全然知れていなかったと実感しました。
◎スポーツ施設の実状がじっくりと聞けました。公共施設を利用した事業を展開することで、スポーツをあらゆる角度から地域に還元できる仕組みが出来上がるのだと感じました。

など、普段は中々深くまで知ることが出来ない仕事のリアルを聞いたことで、自身の仕事の選択肢が広がっていた様子でした。

岩橋氏の仕事のリアルや今後のリアルに迫った本講義も気づけば2時間があっという間に終了!

最後に業界の最前線でご活躍されている岩橋氏から受講生にラストメッセージを頂戴しました。

「今日の内容に興味を持ってくればうれしいですし、今後つながりの中で電話でもメールでもガンガンしてください!『スポーツ業界で働きたい』と考えるここにいるような皆さんと一緒にスポーツで未来を作っていけたらいいなと思います。本日はありがとうございました。」

と、受講生に対し温かいメッセージをいただきました。
受講生の皆さんには業界への就職ではなく業界での活躍を目標に、岩橋氏のお言葉にも甘えさせて頂き、ガンガン情報インプットをして頂き活躍に繋げていければ良いですね。

講師/ゲスト

株式会社ユナイテッド・ワン 
代表取締役CEO

岩橋潤二

1973年8月10日、東京都生まれ。カリフォルニア州サンタアナ大学スポーツ医科学部卒業。

帰国後に大手スポーツクラブにて新規店舗開発を経験後、日本にはない欧米型総合スポーツクラブ『リバティヒルクラブ』の立ち上げに関わる。支配人として5年でクラブ事業を軌道に乗せた後は、様々な事業設立に関わるエグゼクティブディレクターに就任。

2013年から株式会社ユナイテッド・ワンを設立し、代表取締役CEOとして、

スポーツクラブ事業/メンテナンス事業/スパ事業/公共施設受託事業/海外事業/スポーツ家庭教師事業など多岐にわたる新規事業の企画、開発、立上げ及び事業買収の総責任者として、事業案件に関する戦略、書類作成からプレゼンテーション、実務における事業・収支計画やプログラム開発の指揮、監督を担う。

08年まで企業の外部人事部機能を担い、企業経営における人材開発・採用戦略の立案・導入を行う。08年よりMARS立ち上げ参画。アスリート・プロチームのマネジメント、スポーツイベントプロデュースなど、社内事業を横断的に従事し、10年より立ち上げた、「MARS CAMP」商品企画・広報も担当。新卒・中途共にスポーツ業界内企業の外部人事部として活動しながら、体育会系人材の就職支援やアスリートと企業を結ぶセカンドキャリア支援など、スポーツとキャリアをトータルでプロデュースする。