話題の「B.LEAGUE」の広報担当が語る、競技の普及と緻密な戦術

講座レポート

  • 対象講座
    スポーツ・普及と強化の絶対条件
  • 日時
    2016年10月22日(木) 19:30~21:30
  • 会場

    TKP新宿ビジネスセンター 11Fスカイ会議室

    東京都新宿区西新宿2-3-1 モノリスビル11F

  • 講師/ゲスト
    梅原 健太朗詳細
  • ナビゲーター
    仲島 修平詳細

好きなスポーツをもっと普及させたい!
競技レベルの強化を図り世界の舞台で戦える代表を作りたい!
そんな想いを抱える方の多くが一度は志すリーグの仕事。

そして今もっとも「リーグ」に注目の目線が注がれている競技といえば・・・?
2016年秋から新リーグである「B.LEAGUE」の開幕が決定したバスケットボール界より、今シーズンラストイヤーを迎える日本プロバスケットボールリーグ(TKbjリーグ)広報宣伝部の梅原氏をゲストに迎え、競技の普及と強化の役割を担うリーグの仕事を伺います。

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そもそもリーグにはどう入社すればいいのだろう?そんな疑問を持つ方も多くいらっしゃるのでは?

今回のゲストの梅原氏は、大学卒業後からインターンとしてリーグにJOINし、アルバイト→正社員というプロセスを経て、現在リーグの広報として7年間ご活躍されています。

新卒からリーグへ入社というのは、あまり例が無いケースではありますが、逆に公開求人がないリーグへ入社するとすれば梅原氏のような入社事例はスポーツ業界内ではよくある話でもあります。

そんな梅原氏が所属するbjリーグは2005年3月に設立。6チームで始まったリーグは24チームにまで拡大。世界的にもこのチーム増加数に関しては異例。

その影響については「まず僕の仕事が増えたのが1つと(笑)、チームが本拠地を置くそれぞれの地域で試合を見てもらえる人が増え、スポンサー営業先や広報ネタを取り上げて貰うメディア先の関係者の間でも『地元にチームがある』という形で認知が増えてきました。」と、参入チーム拡大の影響力を感じさせるお言葉が。

また2015年からは石川県と広島県にもTKbjへ参加するチームが誕生。特に石川は新幹線開通の影響もあり、初年度からも満員のアリーナを生み出しています。

NHKや地元新聞社からの注目度も高く、開幕戦こそ黒星だったものの、翌日の試合には勝利を挙げ歴史的1勝を挙げた際には地元関係者が涙するほどの歓喜が生まれたとのお話には、その地域にスポーツチームが存在することの意義を感じさせるエピソードとなりました。

そもそもbjリーグが出来た背景は、バスケットボールチームのプロ化の動きに合わせ、バスケットボール協会から独立する形で発足。
今季で11年目のシーズンを迎えたbjリーグですが、

「皆様ご存知のように世界連盟からお叱りを受け・・昨年からリーグ統一に向け動き始め、 2016年秋から新リーグであるB.LEAGUEが発足することになりました。企業チームが混合する形でなく、独立採算性のプロチームへの事業へ移行するということもあり、スポーツ業界の中では今一番面白い競技だと思います。」とは梅原氏。

一方、現存するTKbjリーグとNBLはそれぞれが今年でラストシーズンを迎える形になりました。

新リーグである「B.LEAGUE」は1部~3部で構成される形となり、既存のTKbjリーグとNBLに所属するチームもそれに合わせ振り分けが行われています。

具体的なチームの振り分け基準に関して梅原氏に触れて頂きながら、「結果的には地域密着が成功したところが1部に入っている」という所感を踏まえ、「現在は、オリンピックが東京に来るということもあり、強化推進に向けた取り組みの1つがリーグの統合。開催国枠がない五輪バスケにおいて、この統合によって良い意味での化学反応が起きればと思います。」と今後への期待を梅原氏自身のお言葉でお話頂きました。

その後はリーグのビジネスについて話が展開し、「リーグの収益は基本的にはスポンサーの収益が多くを占めています。その他には放映権やオールスターやTKbjファイナルのチケット、グッズなどが主な収入源になり、あとはスクール事業やリーグへの入会金で構成されています。入会金はTKbjリーグ独特のものになりますが、リーグのスポンサー収入や放映権、グッズ収入などをチームに分配するので、最終的にはチームとしてはプラスになるようにしています」

とあまり聞くことができないリーグの収益モデルに関してお伺いした上で、

「ネーミングライツスポンサーであるターキッシュエアラインズさんに関しては、スポーツでブランディングをしたいと考えている企業で、海外の会社なので日本の企業より契約にはシビアですが、逆にスポーツを上手く活用しようとしている会社でもあります。こちらも勉強になるような提案も多くあるので本当に良いパートナーとして一緒にバスケットを盛り上げて行けるように取り組んでいます。」とリーグとスポンサーの関係のあるべき姿を、受講生が感じることが出来る一幕も。

また「現在はスクール事業の収益が増えている」というTKbjリーグアカデミー事業について深堀していきます。

アカデミー事業の収入が伸びている背景は、少子化による子供1人当たりの習い事の増加と、バスケットボールにおけるプロの指導者不足の2つ。
教育現場における部活動の指導者の問題も様々ある中で、プロの外部指導者を導入したいというニーズが増えており、アカデミーはリーグが主体となって指導者の育成やスクール運営ノウハウや、コーチングスキルの共有をチームに対して行う機能も兼ねています。

このスクールの活用に関しては、「10年以上スクール運営を行っているチームは、スクール出身の選手がトップの契約につながったり、その他でもスクールコーチ目当てにスクール生がアリーナに足を運んだり、前座試合を行い集客に繋げていくチームもあります」と梅原氏が言うように、チームによって様々。

TKbjリーグのアカデミーは社団法人として運営しており、株式会社として活動する場合の施設利用などの制約条件が、非営利の社団法人においては少なく、子供達の大会なども実施しやすいといったスポーツ団体ならではの組織構成についてもお話し頂きました。

「B.LEAUGE以降は、各チームがトップチーム以外にアンダー世代を持つ事が求められていたりするので、そこはウチのノウハウが生かせるのではないかと思います。」とは梅原氏。

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リーグの概要と最前線のリーグビジネスについてお話頂いた後は、仕事のリアルにてリーグ広報の仕事を紐解いていきます。

「まず、広報と広告が混同されている方も多いので、事前に説明しておくと。広告は予算を掛けて広告枠を買うことで、広報・PRは、予算はほとんど無いので、いかにパブリシティを獲得する為にマスに情報を取り上げてもらうか。自分たちで情報発信することが仕事。」という広報の仕事の前提条件からご教示頂きました。

梅原氏の仕事のパートナーはメディア関係者の方はもちろん、TKbjリーグに所属する各チームの広報担当でもあります。
「各チームの担当から現場の詳細の情報を吸い上げ、リーグからもメディアへ提案をしに行き、発信をされる状態を作ることも大事な仕事」とリーグ広報の最前線でご活躍されている梅原氏ならではの言葉には実感が込められているように感じました。

他者を巻き込んだ広報展開と合わせて「昔よりも自社メディアを持てる機会が増えたので、ツイッターなども他のスポーツ団体と比べても早くから取り組み、SNSには力を入れています。」

こうした情報集約のみに留まらないリーグ広報の仕事については、具体的に「公式HP」「ブログ・動画サイト」「twitter・facebook・LINE@などのSNS」等のチャネル毎の使い分け方を、事例を基にご解説頂きました。

このお話をお伺いしている中で、「七夕の際にはtwitterで短冊形の投稿をしたり、スーパームーンを模した投稿したり・・・。スピードが大事なので、外注する場合はお金も掛かるし、社内でデザインと動画の編集ができる人は重宝されると思います。ユーザーとコミュニケーションを取りながら一緒に作り上げていくので、情報発信というよりも、コミュニケーションのツールとして活用しています。」という梅原氏の言葉に広報の仕事のリアルが凝縮されていました。

そして情報発信という意味でバスケットボールの価値を最大化していくには、マスへの仕掛けも重要に。

「スポーツの結果以外のところで勝負しないといけないなと感じ、新聞の経済面や社会面の紙面を狙ったりだとか、スポーツ面以外にどう取り上げてもらうかも大事になってきます。」

その言葉を実現させた事例として、「当時所属していた19チーム中10チームが経営黒字化。スポーツチームの経営が苦しいというイメージに対し、bjが黒字化している背景に興味を持って頂き、取材が入りました。」とTKbjリーグに所属する琉球ゴールデンキングスが掲載された事例もご紹介頂きました。

その後は、2011年に起きた東日本大震災における、守りの広報の対応についても当時の流れを振り返りつつ、「試合を行うことで、会場に人が集まり、募金活動や被災した方々に対してスポーツで元気を与えられると判断して翌週からリーグ再開。ただし、ただ再開するだけではなく、会見を開き意図をしっかりと説明したことで理解が得られました。結果的に東北にあるチームが存続することにもつながった」というように、スポーツならではの価値を提供する上で必要な発信を行うことも仕事の一つであることを受講生に伝授。

その他にもマス媒体への仕掛けについては、<東スポ><GYAO!><ニコニコ生放送><スポーツナビ>などのメディアと連動した広報展開を、実施に至った背景とビジネスの流れも含めてお話頂き、いずれもTKbjリーグとメディア間で相互に価値提供を行うことが実施につながった要因。このパートではスポーツビジネスの奥深さと多様性を感じられる事例の数々が受講生に届けられました。

また媒体との連動だけでなく、「試合以外でいかに興味を持って貰うかが大事なので、本場NBAのエンターテインメントを会場で見てもらおう!」という発想から、NBAのゴールデンステート・ウォリアーズのbjファイナル出演の来日を招致し、子供たち向けのクリニックとパフォーマンスを実現。また<HOOTERS>とはオールスターにてコラボ。HOOTERS店内での告知展開とチケットプレゼント、店内ビジョンでの広告・プロモーションの協力を得る事から新聞紙面への掲載までを形に。

「怪獣ドラフト」と銘を打った、円谷プロダクションのウルトラ怪獣とのコラボ展開に関しては成功体験と改善点などを含めてお話頂き、昨年の群馬オールスター発表記者会見では、オールスター開催地域となる群馬を前面に押し出し、潤沢な予算がない中でのPR施策を実行。

広報のみの仕事でなく、リーグ主催興行の成功に導くために多数のステークホルダーを巻き込んだ展開を実施してきた術は、受講生にとって目からウロコの展開ばかりだったのではないでしょうか。

今後のリアルでは、キーパーソンにメディアの存在を挙げ、「ラグビーを見ていてもわかると思いますが、やっぱりメディアに放送されることによって一般の人へのリーチは広がります。だからこそ、メディアの人に話題を提供して、それが一般の人にどう届けられるかを考える事、スポーツ以外の切り口でいかに露出を増やすかどうかが大事。」とする一方で、

「沖縄、秋田など満員が続き、徐々に集客を成功させているチームを見ると、この先観客動員数を伸ばしていくためには箱が必要だと思います。そこは行政さんとの連動がチームとしてのテーマかなと思います。」と、見落としがちな施設や行政という登場人物も交えて、「今後はリーグ自体がいかにチームを引っ張っていくか。どこのチームよりも先に取り組み、チームにノウハウを共有していくこともリーグが先頭を走って取り組むべきポイントかなと思います。」と今後の展望をお話頂きました。

受講生からは

◎これまでチームの方の話を聞く機会はありましたが、リーグの方の話は初めてで勉強になりました。CAMPの広報プロジェクトに参加しているので実際に働いている方の話を聞けて良かったです。
◎広報宣伝に関してはスポーツ業界以外でも関係があるものなので、今日の具体的な仕事のリアルは最先端を行っているものだと感じました。
◎プロモーション例が豊富で、その背景にどんなやり取りが行われているのか普段は聞けないことが聞けた
◎広報の仕事に対するイメージが明確になり、本当の意味で広報の仕事を理解することが出来た
◎競技の魅力を伝えるだけでなく、試合以外のコンテンツで注目を集めることが求められる点に、やりがいと大変さを同時に感じます

という、スポーツの仕事に興味がある人の中でも、広報の仕事のイメージと実務にはギャップがあり、それを梅原氏の言葉が埋めていたことを感じさせる感想が多く寄せられました。

今回のゲストとしてお越し頂いた梅原氏の仕事の流儀「スポーツだけではなく幅広く関心を持つこと」という言葉には、スポーツ業界を更に発展に導く為のヒントが隠されており、「スポーツ業界自体は日本の中ではようやくスポーツビジネスとして認められてきた後発の分野。他の分野の方がノウハウは沢山あるのでうまく取り入れといけない。スポーツだけで完結するのではなく、エンターテインメントや他の業種の人から話を聞いたりすること。そのほかにもアンテナを張ることで業界を動かすアイデアのキッカケにつながると思います。」という言葉が受講生の身に沁みます。

求める人材・必要な素養は「好奇心旺盛・体力がある方」。
そして今と違う立ち位置で仕事をするなら?という質問には、「メディア側」「マネジメント側」の2点について挙げて頂きました。

また、一度キャリアを挟んでスポーツ業界に入るとするならば?
という問いに対しての答えは広報の梅原氏らしく「マスメディア/IT業界」を挙げ、「マスメディアでは一般の人にウケる視点とセンスが養えると思いますし、ITに関しては最新の技術やノウハウをスポーツに取り入れることで、業界を発展させられると思います。」と現在の仕事に向き合ってきた中で、実際に欲しいスキルともいうべき要素を受講生に対しお伝え頂きました。

TKbjリーグラストシーズンが開幕したばかりのタイミングでお越し頂いた梅原氏より、スポーツの仕事を志す受講生にラストメッセージとして、

「リーグとしては今年最後になるので、一回でも試合の会場に足を運んでもらいたい。」としっかりとTKbjリーグの存在はアピールしつつ、「現場に来てわかることも沢山あると思いますし、仕事をする上で、アイデアのキッカケになるとすれば現場にしかないと思いますので、バスケットに限らず他の競技やエンターテインメントを含めて、色々な情報をスポーツにつなげられるかを考えて貰えればと思います。」と業界で活躍するために必要なアンテナの張り方をお届け頂きました。

奇しくも競技以外の面で、スポーツ業界内でもひと際注目を集めたバスケットボール業界。
様々な情報が飛び交っていた「リーグ統一問題」は、一旦収束に向かっています。

ここで集まった注目を「広報」「PR」へと変換し、バスケットボールの「普及」「強化」へと繋げられるか。スポーツを仕事にしたい!バスケットボール業界を盛り上げたい!と考える方は、バスケットボール界の広報戦略に注目しつつ、将来の業界の発展を担うメンバーへ変貌が求められているのかもしれませんね。

 


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講師/ゲスト

株式会社日本プロバスケットボールリーグ
(TKbjリーグ)広報宣伝部

梅原 健太朗

1986年千葉県出身。明治大学情報コミュニケーション学部卒業。
 大学卒業後、インターン生としてbjリーグ(株式会社日本プロバスケットボールリーグ)に入ると、その後正社員に。広報宣伝部に所属し、メディア対応、HPやSNSなど広報全般をはじめオールスターやファイナルなどイベントも担当。

08年まで企業の外部人事部機能を担い、企業経営における人材開発・採用戦略の立案・導入を行う。08年よりMARS立ち上げ参画。アスリート・プロチームのマネジメント、スポーツイベントプロデュースなど、社内事業を横断的に従事し、10年より立ち上げた、「MARS CAMP」商品企画・広報も担当。新卒・中途共にスポーツ業界内企業の外部人事部として活動しながら、体育会系人材の就職支援やアスリートと企業を結ぶセカンドキャリア支援など、スポーツとキャリアをトータルでプロデュースする。