Jリーグの創設期を支えた「オリジナル10」東京ヴェルディの伝統とe-Sports参入という革新に迫る。

講座レポート第12期18回

講座レポート

  • 対象講座
    感動請負人、スポーツチーム最前線③
  • 日時
    2016年9月20日(火) 19:30~21:30
  • 会場

    TKP新宿ビジネスセンター11Fスカイ会議

    東京都新宿区西新宿2-3-1モノリスビル11F

  • 講師/ゲスト
    森 太郎詳細
  • ナビゲーター
    仲島 修平詳細

半年に渡ってお届けしてきたMARS CAMP12期もいよいよ最終講義となりました!

MARS CAMP2016SS 第12期のフィナーレを飾る最後の講義は、日本初のプロサッカークラブとしてJリーグを創設期から牽引し、昨今話題になっているe-Sportsチームを、日本のプロスポーツチームとして初めて立ち上げるなど、偉大なる伝統を持ちながらも、更なる進化を推し進める東京ヴェルディ1969フットボールクラブから、ホームタウン事業・スポンサーセールス、そしてe-Sports事業を担当する森太郎氏がご登壇!

森氏はMARS CAMP第8期では、プロバスケットボールチームのスタッフとしてもご登壇頂き、今回で2回目のご登壇。
プロ野球チームやバスケットボールチームなど、競技を問わず横断的にスポーツチームの業務を歴任されてきた森氏が、現在行っているスポーツチームの施策や感動提供術について迫っていきます。

講座レポート第12期18回

まずは森氏から、東京ヴェルディ1969フットボールクラブの歴史を企業チームとしての活動を行ってきた時代から、現在に至るまでの事業の変遷についてお話しいただきました。

「Jリーグの創設期を支えた「オリジナル10」と呼ばれるクラブとして非常に人気がありました。チケットは常に5分で完売。チケットが買えないというお客様からのご要望が多発するほどの人気だったようです。その後現在の「東京ヴェルディ1969フットボールクラブ株式会社」へ体制が変わって以降は、女子サッカーチームの「日テレ・ベレーザ」やアカデミー、スクールなどフットボール関連の活動に加え、トライアスロンチーム、バレーボールチーム、幼児園運営など総合型のスポーツクラブとして活動することに力を入れ始め、“ヴェルディファミリー”としてクラブをしっかり経営していこうという視点にシフトしていっています。」と森氏が言うように、東京ヴェルディはサッカークラブからスポーツクラブへと大きく変わっていきました。

そんな東京ヴェルディはその中で最優秀育成クラブを2回受賞するなど、アカデミー事業に力を注ぎ、輩出したJリーガーは延べ約50名。長い歴史の中で培われたサッカー選手育成という強みが実績となって顕著に表れてきています。

またメディアや特にSNSに関しては、ベレーザ含め多種目に渡るスポーツチームの情報も東京ヴェルディのアカウント一つで統一して管理していことで、サポーターに対し“ヴェルディファミリー”という意識をより訴求できていると森氏は言います。

「アカウントを一つに統一することでサポーターはヴェルディファミリーの活動を早く捉えることができます。そういった取り組みがヴェルディファミリーとしての一体感につながっているのではないか。」とPR業界で得た広報・PRの経験を随所で発揮されている森氏の言葉がスポーツ業界で仕事をしたいという受講生にとっても、新たな視点を共有してくれていたようです。

そんな森氏は現在東京ヴェルディの組織において主にスポンサーセールスとホームタウン事業をご担当。仕事のリアルでは、PR業界や他競技の複数のスポーツクラブを渡り歩いてきたこれまでのキャリアを歩んできたという背景を基に、現在の東京ヴェルディでの仕事術に迫っていきました。

講座レポート第12期18回

まずは森氏が手掛ける、東京ヴェルディのホームタウンである多摩市での活動から。

「まず私は転職のタイミングで多摩市が担当になると分かっていたので、多摩市に引っ越しすることにしました(笑)。というのも、市内に住んでいた方が、より親近感を持ってもらえるだろうと思ったんです。話もより聞いてくれますし、共通の話のネタも出てくるので、ヴェルディと自治体の価値創出という面で大きなメリットがあります。」と担当者ならではのお話しからスタート。

そして、現在東京ヴェルディが行うホームタウン活動としてメインで行っているのが「ヴェルレンジャー」。

「ヴェルレンジャーとはスクールコーチが隊員としてホームタウンの小学生にスポーツの楽しさや、自分で考えて行動する大切さを伝えながらヴェルディをより身近に感じてもらう活動。自治体のニーズとして多いのが「子供向けの活動」ということで、このヴェルレンジャーを行っています。年間30回以上活動しており、この取組が評価され、自治体との協働事業として行うことになったりとホームタウン活動として非常に成功しています。また、事業として行うことでチームにも自治体にも責任感を持ちながら活動が出来ており、地域活動やホームタウン活動の大切さをスクールコーチ含めスタッフが理解し、継続的に活動していくことができています。」と言い、自治体との関係性構築、更に地域活動、ホームタウン活動の推進の大切さを理解し、スポーツチームとして地域を盛り上げてく動きを積極的に行っているようです。

しかし、森氏はさらにホームタウン活動を推進していく上で「自治体の中で、スポーツチームの活用方法にまだピンと来てない方もいらっしゃると思います。主に自治体のスポーツ事業の窓口となるスポーツ関係の部署だけではなく、他の課と連携していく必要があり、こういった部分を私たちがプロスポーツチームの新しい活用の可能性について提案できれば東京をホームタウンとして置くクラブとして長く愛される、そして長く活動できる土壌ができると思います。」と担当者として現場で感じるリアルな部分についてもお話しいただけました。

昨今では、「地方創生」などがキーワードとして挙げられ、自治体とスポーツチームの関わりの仕方について非常に注目されています。今後のスポーツ市場については、2020年には約10.8兆円、2025年には約15.2兆円の市場規模に拡大すると国が発表し、スポーツに対する機運が益々高まっています。そういった背景もある中で、スポーツの発展のための影響力の大きさや、普及拡大において自治体は欠かせないというお話は受講生にとっては新しい学びではなかったのでしょうか。

そして次はスポンサー営業について。
総合型にシフトチェンジし、スポンサーシップにも変化があると語る森氏に、現在のスポンサー営業についてお話しいただきました。「まずは、ヴェルディファミリーとして動いているので、競技の枠にとらわれず、幅広いアプローチ方法があるというメリットがあります。例えばサッカーとバレーボールチームとでは関わる企業、興味のある企業も違うので、新たなスポンサーを獲得できる可能性もありますね。」と森氏は言い、基本的に一業種一契約という考え方を改める新しいスポンサーのあり方についてお話しいただきました。

スポーツにおけるスポンサーシップの活用目的・方法として主に挙げられるものは

「プロモーション」
「ブランディング」
「商品開発」
「地域貢献」

などが代表的。

その中でもサッカーにおけるスポンサーシップにおいて、一番露出が高い胸スポンサー。ここに関してはチームにとって最も重要な顧客となり、こうしたスポンサー企業への価値提供は露出以外にも、影響力のある施策を打つことが求められます。この日は東京ヴェルディの胸スポンサーである株式会社クリエイトとの取組やイオンリテール株式会社と連動した「商品開発」を例に、スポンサーに対して価値提供をする上での姿勢や方法、考え方までじっくりとお話頂きました。

スポンサー企業のニーズやスポーツチームを活用して実現したいことをヒアリングした上で、企業とチーム相互にメリットが生まれるWin-Winの施策を行ってきた森氏のお話の数々に、受講生のペンも走ります。

講座レポート第12期18回

そしてこの日の話は、スポンサー営業とも非常に関連性の高い、スポーツチーム初の「e-Sports」展開についてもお話頂きました。

プレスリリースが出たことも相まって、受講生も注目必須のこのe-Sportsチーム立ち上げ。
そもそも「e-Sports」とは、「エレクトロニック・スポーツ(Electronic Sports)」の略称で、コンピュータゲームをスポーツ・競技と捉えたものです。

近年、世界のe-Sports競技人口は約5500万人と言われ、プロチームやプロリーグも多数あり、高額な賞金もかけられる世界的な規模の大会が行われ、年収1億円のプレイヤーが存在するなど、その人気は絶大となっています。
そんな日本のスポーツチームとしてe-Sportsチームを設立するのは東京ヴェルディが初!海外ではマンチェスター・シティ、ヴォルフスブルグ、シャルケ、バレンシアなど世界のビッグクラブも参入しているe-Sports界へ国内のスポーツチームとして初めて参入するその狙いと仕掛けについて迫ります。

まず森氏から参入の狙いについて
「サッカーだけでなく、他のスポーツでもヴェルディの知名度を高めることを目指しています。e-Sports業界において日本のライトなファン層にも知名度の高いチームを作れるという考えと自負があり、また他チームとは違うスポンサーセールスや違う価値を提供できる。例えば、サッカーゲームのプレイヤーは、実際のスポーツを観戦に訪れる方が多いということをプレイヤーから聞いているので、そういったファンをフットボール部門のサポーターに取り込める可能性がありますし、また新しいスポンサーの獲得につながる可能性もあります。それ以外にも様々な面で可能性を広げられる活動になるのではないかと思っています。」とのお話には、e-Sportsに参入することが総合型へ、そしてファンやスポンサーへ大きな影響を及ぼすものであると分かります。

また、森氏は続けて「海外でも人気なe-Sportsへの参入が海外展開のきっかけになり、海外で有名になれるチャンスでもあります。マンチェスター・シティに東京ヴェルディがゲームで勝つことだって夢ではありません(笑)。ファンには『東京ヴェルディが(e-Sportsで)マンチェスター・シティに勝った!』という、ヴェルディサポーターならば余計に強く感じてもらえる喜びやワクワクを提供出来る可能性もあります。」と言い、e-Sportsでしか提供できない価値もあり、非常に魅力的な取り組みであると再認識することができました。

そして、上述でもあったように、総合型になったことによって、スポンサーになることのなかった企業がスポンサーになる、という新しいスポンサーシップの契約形態についてお話しいただきました。これはe-Sportsでも同様で、今回e-Sportsチームの設立と同時にリリースされ、反響の大きかったレノボ・ジャパン株式会社とのスポンサー契約締結についてお話しいただきました。

「“J2のプロサッカークラブ”としてではなく、“日本のプロスポーツチーム初のeスポーツチーム”としての東京ヴェルディとしてコミュニケーションを図ることができました。その結果、プロモーションやブランド価値を評価していただき契約に至りました。」と森氏と言うように、サッカーなどの他の事業とは別のもの、つまり総合型スポーツクラブの中の一ブランドという位置づけとしてe-Sportsチームを捉えることで、新しいスポンサー契約に至ることができた事例となりました。そして、「もともとのフットボール部門の東京ヴェルディサポーターに対しても価値を提供できる体制なので、そこを最大活用してスポンサーのニーズを満たしていく施策や活動が必要になっていくでしょう。」と、スポンサーセールス部門のミッションであるスポンサーの価値提供を最大化していく仕掛けや施策について、サッカー事業と変わらず推進していくという森氏のプロ意識が垣間見えました。

日本初のプロスポーツチームが運営するe-Sportsチームで、成功事例もなければ比較対象もないそんな状況の東京ヴェルディ。そんな東京ヴェルディe-Sportsチームの挑戦に今後も注目です!

そんな東京ヴェルディの今後のリアルとして、仕事のキーパーソンとなるステークホルダーに森氏は「ホームタウン」を挙げていただくと同時に、各事業面の今後についてお話ししていただきました。
「引き続き、自分が担当する多摩市でのホームタウン活動をより推進していく必要があります。しかし、ヴェルディ、ベレーザ、バレーボール、トライアスロン、そしてe-Sportsと各事業それぞれに異なったステークホルダーがいると思います。各事業を太陽系に例えるならば、事業系での銀河系を作っていきたいです。」と熱いお言葉をいただき、ますます東京ヴェルディの動向に注目が高まります。

そんな野球、バスケ、サッカーとスポーツ業界を渡り歩いてきた森氏の“仕事の流儀”は、

「面白い事に敏感になる」

そしてスポーツ業界で活躍するための“必要な素養”として

「常に視野を広く持つ!」

を挙げていただきました。

「計算だってやると面白みにかけてしまう。自分からリスクを背負い、自分が面白いと胸が張れることをしていきたい。」とスポーツ業界で長年手腕を発揮される森氏の活躍を表現するかのようなお言葉をいただきました。また、「PR業界を経てスポーツ業界に飛び込んだ私は、客観的な視点を大事にする価値観を持っている。スポーツの仕事をしたいからスポーツビジネスの勉強しかしないのではなく、スポーツ以外の他のトピックスに視点を持ち、その視点をどうサッカーに繋げられるのか、生かせられるのかを常に考えることが重要。」と、異色ともいえる森氏の歩まれたキャリアや経験から非常に説得力のあるお言葉をいただき、受講生は自分が携わりたい、仕事にしていきたいと考えるスポーツについて改めて考え直されたのではないでしょうか。

受講生からの声を見ると

◎3競技に関わってきた森さんだからこその視点が多くあり、知っているようで知らないスポーツチームの具体的な仕事を知ることが出来ました。
◎スポンサー営業において総合型のクラブとして展開することの意義は、これまでの講義で理解していたが、その中にe-Sportsが入りこむ余地があり、可能性がさらに広がることがイメージできました。
◎地域とチームの関係性を重んじながら、ブランドの活用をする方法がわかりました。
◎スポーツチームの仕事を、どの事業部で、何をしたいか。キャリアイメージを具体化する上で、重要なキッカケになりました!

と濃密な2時間を過ごすことが出来たようです。

講座レポート第12期18回

気づいたら2時間の講義があっという間に終了となったMARS CAMP12期ラスト講義。

スポーツ業界を横断するという異色のキャリアを歩み、東京ヴェルディではホームタウン活動、スポンサーセールス、そして話題のe-Sportsなど業界の最前線で様々な活動や仕掛けをしてこられた森氏から、歩まれたそのキャリアや、経験を元に受講生たちにラストメッセージをいただきました。

「スポーツを仕事にしたい人ほどこだわらなくていいのかなと思っています。スポーツのここで働きたいというイメージや理想を頭の中に置きながら常に違う様々な情報を取り込むことで、他の人々とは違った提案が可能です。むしろ、他業界で身につけたスキルがあることによって、スポーツ業界が近づくのではないかと思います。そういう意味でも、広くいろんな可能性を持って活動していってほしいと思っています。」

スポーツ業界で働くことを志す受講生に対しては、キャリアを考えていく上で非常に説得力のあるラストメッセージとなったのではないでしょうか。

 


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講師/ゲスト

森太郎

東京ヴェルディ1969フットボールクラブ株式会社
パートナー営業部 パートナー営業グループ 
兼 ファンデベロップメント部 ホームタウングループ

森 太郎

1984 年生まれ 兵庫県出身 
大阪府私立大阪星光学院高校・早稲田大学商学部 卒業
大学卒業後は、総合 PR 会社ベクトルグループ・株式会社アンティルに入社。 大手家電メーカーや製薬メーカー、音楽系 SNS、スポーツイベントなど幅広いジャンルの PR 業務に関わる。 2012 年には株式会社西武ライオンズに入社。 ファンクラブ・グッズなどの事業関係の PR 業務を中心に、スポーツビジネスの現場でのキャリアをスタート。 2013 年 からは和歌山トライアンズ、その後は西宮ストークスと、プロバスケットボールチームにて広報・プロモーションに限らず、事業面全般に携わる。2016 年より現職。東京ヴェルディでは野球・バスケと別競技やプロモーション分野での経験を活かし、パートナーセールスとホームタウン活動に従事。また最近では、日本のプロスポーツチームとして初めて参入したeスポーツ部門の立ち上げにも関わる。

08年まで企業の外部人事部機能を担い、企業経営における人材開発・採用戦略の立案・導入を行う。08年よりマーススポーツエージェント(現:ウィルオブ・スポーツ)立ち上げ参画。アスリート・プロチームのマネジメント、スポーツイベントプロデュースなどを経験し、2010年「MARS CAMP」創設。現在は社内事業統括、新規事業立案・推進を担う。スポーツ関連企業の外部人事部としてスポーツ×キャリアをトータルでプロデュースしながら、2020以降に事業化・プロ化を視野に入れる各種スポーツ中央団体の事業パートナーとして各種プロジェクトを推進中。