観客動員・会員数で過去最高を更新。ヤクルトを支える事業戦略の裏側

講座レポート

  • 対象講座
    「変革」と「不変」。 これからのスポーツチームの仕事(2)
  • 日時
    2019年2月25日(月) 18:30~20:30
  • 会場

    【会場】TKP新宿カンファレンスセンター カンファレンスルーム4B

    【住所】東京都新宿区西新宿1-14-11 Daiwa西新宿ビル 4F

  • 講師/ゲスト
    片野 翔大詳細
  • ナビゲーター
    仲島 修平詳細
  • ナビゲーター
    関谷 秀詳細

2017年はセ・リーグ最下位に沈んだものの、2018年はクライマックスシリーズ進出を果たした東京ヤクルトスワローズ。球団の強化はもちろん、事業面でも着実に実績を積み上げています。

その背景には、ファンマーケティングに基づいたチケットやファンクラブ、イベントの戦略があります。

MARS CAMP第17期第10回本講座では、2018年にヤクルト球団へ入社し、球団のファンマーケティング戦略を推進している片野翔大氏にお越し頂き、事業の裏側を明かしていただきました。

入場者数は順位とは比例しない

片野氏はヤクルトにおいて、デジタルマーケティングを中心に、ファンクラブ、チケット、イベント企画などのファンビジネス全般を担当しています。ヤクルト球団は2018年に約100億円の売り上げを記録しましたが、その半分は入場料収入が占めているとのことです。野球が他競技に比べて試合数が多く、会場のキャパシティも大きいことが要因として考えられます。

ヤクルトは2018年シーズン、セ・リーグで2位の成績を残し、クライマックスシリーズ(※)に進出しました。このクライマックスシリーズは、ホームゲームの開催球団が大半の収益を得られるシステムとなっています。

クライマックスシリーズ・・・各リーグにおいて、上位3球団が日本シリーズ出場をかけて争うプレーオフ。2位と3位が争う「ファーストステージ」と、1位とファーストステージ勝者が争う「ファイナルステージ」に分かれている。

ファーストステージは2位の球団の本拠地で開催されるため、片野氏は「終盤まで2位と3位のせめぎ合いをしていたので、もし3位に落ちたらどうしようという気持ちで準備を進めていた」と、当時の心情を明かしました。なお、シーズン前の事業計画では、クライマックスシリーズの売り上げは計算していないとのこと。

ホームゲームの入場者数はここ数年、右肩上がりを続けていますが「どの球団も同じだが、入場者数は順位とは比例していない」と片野氏は語ります。その言葉どおり、2017年は球団史上ワースト記録の96敗で“歴史的最下位”を経験したものの、入場者数は上昇していました。そして、昨年のホームゲームでは37で完売、47試合で“大入り”(2万4,000人前後)を記録しています。

片野氏は2010年に、CRM(顧客関係管理)関連製品及びサービスの提供、戦略構築支援を行なう「シナジーマーケティング」に入社し、プロスポーツ団体のCRM活動に従事していました。ヤクルト球団では現在、このシナジーマーケティングのサービスを活用して、顧客管理やメールマーケティングを行なっており、片野氏は「CRMの活用は、チケットの売り上げに直結する」と、CRMの重要性を述べています。

ファンクラブ会員数は右肩上がりに

やはりホームゲームは週末開催に比べて、平日開催のチケットの売れ行きが下がってしまう傾向にあります。それを補填する形で、ヤクルトでは平日のホームゲームで様々なイベントを実施し、集客に励んでいます。特に平日はサラリーマンの来場が多いため「生ビール半額ナイター」や「神宮呑みシリーズ」など、サラリーマン向けのイベントも数多く企画しています。

そういった取り組みが功を奏し、近年はファンクラブの会員数が右肩上がりに。ファンクラブ会員の特典の1つに、チケットの先行販売がありますが、片野氏は「チケットの需要が高まるとともに、先行販売の価値も高まっている」と会員数増加の要因を語っています。

また、プロ野球の傾向として、1シーズンで同一カードの対戦が多いことが挙げられます。そのため、チケットの先行販売の権利を求めて、ビジターファンがヤクルトのファンクラブに入会するケースもあります。

それを踏まえてヤクルトでは、ビジターファンが入りやすいような会員種別の新設も検討しています。球団としては利益が減少する可能性もありますが、片野氏は「やはり球団の方向性としては、ヤクルトのファンを増やさないといけない」と本音を口にしています。

 

mixiとスポンサー契約を締結し、さらなる高みへ 

2018年10月には、クライマックスシリーズ進出を狙う中、終盤戦のホームゲームで「ファイナルシリーズ」と題したイベントを開催しました。当日は、来場者プレゼントやプレミアム大抽選会、ファン参加型企画など、共に戦ったファンへの感謝を示しました。その中で商品提供など、スポンサーの露出機会も設けることで、日頃のスポンサーへの感謝も表しています。

 

「球団のB to Cのビジネスをすべて集約したようなイベントでした。1年目で良くこんなにチャレンジしたなと、みんなは引いていましたけど、とにかくやり切りたくて(笑)。当日はブースに来ていただいた方もすごく多かったです」

2019年2月には、mixiと大型スポンサー契約を締結しました。今後はmixiと共に、ホームゲームのエンターテイメント性を高める施策を図っていく形となります。

当日の受講生からは

◎ファンサービスの向上においてCRMの重要性を理解することが出来ました!

◎野球界に興味があり、色々なイベントデーを見てきましたが、その取り組みの裏側を知る機会がこれまでなかったので、本日たっぷり聞けて大満足でした!

◎チームの順位に関わらず売上やファンクラブ会員数を増加させていくことはまさに事業部の腕の見せ所。それを実現するためのヒントが満載でした!

◎片野さんの仕事の流儀でお話頂いた「101点のサービス」はめちゃくちゃ響きました。MARS CAMPでスポーツチームのインターンをやっているので、普段の業務にも生かしていきます!

と片野氏の熱量こもったメッセージの数々に、受講生は刺激を受け、学びを深めていた様子。

 

最後に片野氏は、スポーツ業界を志す学生に向けてエールを送りました。

 

「僕は『好きこそものの上手なれ』という言葉を座右の銘にしています。これは前職で尊敬していた上司からいただいた言葉で、好きなものほど強いものはないと思っています。ビームスの設楽社長も『努力は夢中に勝てない』と仰っていますが、それに近しくて。僕は自分の好きを突き詰めて、それを正しくするために行動して、結果を残してきたのかなと。

好きを仕事にするかしないかは、その人の判断によります。ただ、好きなものを選ぶか、そうでないものを選ぶかなら、好きなもののほうが頑張りも発想も楽しさも生まれます。無理も無理じゃなくなるんです。働きすぎたら良くないところもあるかもしれないですが、頑張りの一歩を支えるのは、好きという感情だと思います。

好きを選べるのは幸せですし、仕事に本気で向き合っている熱いメンバーとも出会えました。これは自分が『スポーツが好きだから』と、前向きに行動してきた結果なのかなと。好きがないという方も多いかもしれないですが、もし好きが見つかったときには、チャレンジしてもらいたいです。そして、自分がそれを好きだということを、発信していくのも大事にしてほしいと感じています」

好きを仕事にしたいという純粋な想いでMARS CAMPに参加した受講生にとっても、片野氏のお言葉は深く胸に刻まれたことでしょう。

より一層、強い想いを推進力に変えて、スポーツ業界での活躍に向けて動き出す受講生に期待したいですね!

 


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講師/ゲスト

株式会社ヤクルト球団
営業部 営業企画グループ

片野 翔大

1987年4月生まれ・京都府福知山市出身。中学校までサッカー・陸上・空手の複数スポーツを掛け持ちし、 全てで京都府代表を経験。高校、大学はサッカー部に所属。

2010年関西大学を卒業し、シナジーマーケティングに入社。 入社後はアパレル、銀行等のCRM担当を行い、 強い想いのもと、スポーツビジネス専任チームを自ら立ち上げ、 福岡ソフトバンクホークスやJリーグ、トヨタアルバルクといったプロスポーツ団体のCRM活動に従事。

その後スポーツナビを経て、2018年4月にヤクルト球団へ入社し現在に至る。

ヤクルト球団では、デジタルマーケティングを中心に、 ファンクラブ、チケット、イベント企画などのファンビジネス全般を担当している。

08年まで企業の外部人事部機能を担い、企業経営における人材開発・採用戦略の立案・導入を行う。08年よりマーススポーツエージェント(現:ウィルオブ・スポーツ)立ち上げ参画。アスリート・プロチームのマネジメント、スポーツイベントプロデュースなどを経験し、2010年「MARS CAMP」創設。現在は社内事業統括、新規事業立案・推進を担う。スポーツ関連企業の外部人事部としてスポーツ×キャリアをトータルでプロデュースしながら、2020以降に事業化・プロ化を視野に入れる各種スポーツ中央団体の事業パートナーとして各種プロジェクトを推進中。

13年新卒入社 (新卒1期生)。元々はマスコミ業界を志望し、学生時代には学生スポーツ新聞にて活動。並行しMARS CAMP2-5期生として、チームスポンサー営業・イベント運営・リーグ広報・ロンドン五輪Webサービスのインターンに参加。
入社後はスタジアムフード事業、チーム興行支援、チケットセールスを担当し、現在はスポーツの仕事に興味・関心がある学生/社会人、累計1万人以上の方々向けにスポーツ×キャリア支援のコーディネーターとしての業務に従事。並行して「MARS CAMP」コンテンツ企画/広報/マーケティング業務も担当。