“付加価値”で満足度向上。西武ファンを虜にする電子チケットの裏側

講座レポート

  • 対象講座
    スポーツを再定義!スポーツ×事業戦略
  • 日時
    2018年12月19日(水) 19:30~21:30
  • 会場

    【会場】マーススポーツエージェント本社

    【住所】東京都中野区本町1-32-2 ハーモニータワー27F

  • 講師/ゲスト
    河野 貴裕詳細
  • ナビゲーター
    仲島 修平詳細

 

スポーツビジネスで活躍するための最速講座として、2010年からスタートした「MARS CAMP(MARSキャンプ)」は現在、第17期目を迎えています。2018年12月19日(水)の社会人コースでは「スポーツを再定義!スポーツ×事業戦略」をテーマに、約2時間の講義が行なわれました。

プロ野球・西武ライオンズでは、2017年7月から電子チケットサービス「Quick Ticket by MOALA(以下、Quick Ticket)」を導入しています。電子チケットには様々なメリットがありますが、チケットとしての機能面以外にも、さらなる“付加価値”を加えることによって、ファンからSNSで反響を呼んでいます。株式会社playground執行役員の河野 貴裕氏に、開発の裏側と今後の展開について伺いました。

 

 

―幅広い競技を含む10,000イベント以上で導入

 

2017年6月に設立されたplaygroundは、以前は株式会社Leonis & Co. として、小売業者向けにコンサルティングやシステム開発を行なっていました。その中で電子スタンプの技術を開発したところ、電子チケットの導入で活用したいとの声が上がり「Quick Ticket」として商標登録しました。現在はサンリオ・ピューロランドや埼玉西武ライオンズなどで導入されています。

playgroundは「リアルイベントに、デジタル革命を」をミッションに掲げています。河野氏はこの背景として「ライブなどでの演出のデジタル化は進んでいるものの、インフラのデジタル化はほとんど進んでいない」という実情を指摘しました。現在はライブ体験のすべてを電子化するプラットフォームとして「MOALA」を展開しており、Quick Ticketを含めた様々なサービスを提供しています

Quick Ticketは2017年12月のリリース以来、10,000イベント以上で導入されています。スポーツ界では西武ライオンズのほか、女子プロ野球やVリーグなど、幅広い競技で活用されるようになりました。

このサービスは専用アプリ不要で気軽に使えるほか、ペーパーレスや不正転売防止、アルバイトの経費削減にも繋がるなど、様々なメリットがあります。それに加えて限定グッズの引換券や、入場者特典の待受けといった付加価値を与えることによって、ファンの満足度を向上させています。

 

 

―自社投資の電子チケットシステムを“タダ”で提供

 

前述の通り、Quick TicketはLeonis & Co. 時代に開発した電子スタンプの技術をもとに生まれました。2016年夏ごろに電子チケットに活用したいとの問い合わせが数件あり、その意見を参考にプレイガイドや音楽レーベル、スポーツ団体などに「電子チケットアプリ企画趣意書」を持ってヒアリングに回ったとのことです。

しかし、「ニーズはあるが誰も投資できない」「アプリ型の電子チケットは流行りそうもない」など、導入における様々なハードルがあることが分かりました。そこでLeonis & Co. では、自社投資でブラウザベースの電子チケット発券システムを作り、チケットの仕入れや販売も行なわないため、“タダ”で提供することを提案しました。

システムはアプリではなくブラウザベースで展開し、チケットの仕入れや販売は行なわないためプレイガイドの商材を奪うことはありません。この提案には大手プレイガイドや大手興行主も「YES」と答えました。ここまでの流れは河野氏が独自で動いていましたが、提案が功を奏した段階で代表取締役の伊藤圭史氏(現・playground代表取締役)に相談し、事業の立ち上げに至りました。

日本のチケット販売は「興行主(Jリーグ、プロ野球など)」が「プレイガイド(チケットぴあ、イープラスなど)」に販売を委託し、プレイガイドが顧客への販売を行なうという流れが基本となっています。チケットの発券は「発券チャネル(コンビニ、郵送など)」が担い、顧客は発券チャネルに対して発券手数料や配送料を支払います。Quick Ticketはこの発券チャネルとして、発券手数料をもとにマネタイズを行なう方針がありました。

 

 

―デザインチケットやビクトリーフォトにはSNSで反響が

 

Quick Ticketを成功させるモチベーションとなったのが、「五輪よりもレベルが高い」という声もあった有名な大会で、ガラガラの観客席を目の当たりにしたことだったそうです。そんな現状に、河野氏は「ITの力で日本のスポーツは変えられるのではないか」と感じ、Quick Ticketを通してスポーツの価値を最大化したいと考えました。

それでは、実際にQuick Ticketはどのように機能しているのでしょうか。2018年シーズンの西武ライオンズでは、「来場者限定コミュニケーション」として、以下のような流れでLINEにトークを送りました。

1.試合前日のリマインド

2.試合当日のゲームレビュー

3.来場後のWelcomeメッセージ

4.試合中の抽選企画参加のお願い→結果の通知

5.試合後(勝利時)のビクトリーフォトの配布

この企画をホームゲーム全試合で実施しています。チケットは試合ごとに券面画像が変わる「デザインチケット」となっており、ファンのコレクション性を高めています。このデザインチケットの評判が高かったため、2019年からは全試合で異なるデザインを検討しているとのことです。抽選企画の景品にはサイン色紙や招待券を用意しました。

また、MOALAの一環である「MOALA Market」を活用したレンタルフラッグサービスも実施しました。Webで事前にフラッグをレンタル販売し、現地で貸し出しを行なうサービスです。このようなサービスは従来も球団側で検討されていたとのことですが、フラッグを返さずに持ち帰ってしまうファンが出てくるリスクがありました。

しかしMOALA Marketでは、持ち帰ってしまった場合は購入金額が自動で引き落とされる仕組みになっています。ファンはレンタルでフラッグを購入し、気に入ったらそのまま持ち帰ることができるのです。今後は初心者向けにライオンズグッズの“全身コーディネート”をレンタルするなど、様々な企画を提案していることを河野氏は明かしました。

Quick Ticketや、それに付随するビクトリーフォトなどの特典は「全球団で導入してほしい」「おもてなしがすごい」など、SNSで様々な反響を呼んでいます。河野氏は「こういった声を集めていくことによって、徐々に座席が埋まっていく試合が増えるのではないか」と、今後のスポーツ界の変化に期待を寄せています。

 

スポーツがビジネスとして成り立つべき理由

 

河野氏はスポーツ業界を変革させるためには「ファンの体験を高め、主催者にしっかり儲けてもらう」ことが必要だと論じました。日本ではスポーツはビジネスではなく、体育として捉えられがちですが「スポーツはお客さんを楽しませてくれるし、勇気を与えてくれるものなので、もっと投資されて良いはず。投資されれば、今後さらに良いコンテンツが生まれてくる」と、スポーツがビジネスとして成り立つべきであると主張しています。

そして最後に、スポーツ業界での活躍を志す社会人に向けて、ラストメッセージを送りました。

「スポーツ業界は、まだまだいろいろなことが整理されていない業界だと思っています。業界内外での横の繋がりがあるようでないですし、ノウハウが共有されていないがゆえに、同じようなことで悩んでいるケースがたくさんあります。

私たちがplaygroundを立ち上げて1年半が経って分かったのは、私のようなスポーツの知識があまりない人間であっても、すごくノウハウを持っているような認識をされます。歴史がある業界のはずなのに、情報が散漫してしまって、整理されていない業界なんです。

だからこそやれることがたくさんありますし、これからスポーツ業界に向かうMARS CAMP生の皆さんにも、活躍できるフィールドは広がっていると思います。もっと業界を大きくしていくためにも、共に歩んでいけたら嬉しいです」

 

河野氏のラストメッセージにもあったように、まだまだ「やれること」「やるべきこと」が多いのが今のスポーツ業界。

だからこそ、河野氏のような業界に変革をもたらすチャレンジャーの存在は業界にとって必要不可欠な存在であり、この日の講義を聞いた受講生が河野氏の後に続くことが出来れば、より多くの方にスポーツの価値と新たな体験を提供できるようになるのではないでしょうか。

 


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講師/ゲスト

playground株式会社
執行役員 事業推進担当

河野 貴裕

早稲田大学卒業。日本最大の大企業向けERPパッケージソフトメーカー、(株)ワークスアプリケーションズに入社しセールスとマーケティングに従事し、Eコマースプロダクトにおける最高受注額を2度更新。

2015年からはオムニチャネルコンサルティングファーム、(株)Leonis & Co.の営業責任者及び、トランスコスモス(株)におけるオムニチャネル推進室のセールス&マーケティングアドバイザーに就任。

2016年12月に世界初のブラウザ型の電子チケット発券システム「Quick Ticket」を事業を立上げ。

2017年6月にエンタメ業界に特化したデジタルファームであるplayground(株)の設立に参画、執行役員に就任。事業推進と業務推進の責任者。

08年まで企業の外部人事部機能を担い、企業経営における人材開発・採用戦略の立案・導入を行う。08年よりMARS立ち上げ参画。アスリート・プロチームのマネジメント、スポーツイベントプロデュースなど、社内事業を横断的に従事し、10年より立ち上げた、「MARS CAMP」商品企画・広報も担当。新卒・中途共にスポーツ業界内企業の外部人事部として活動しながら、体育会系人材の就職支援やアスリートと企業を結ぶセカンドキャリア支援など、スポーツとキャリアをトータルでプロデュースする。