スポーツが地域振興の一助に。公共施設を管理する指定管理者のシゴト

講座レポート

  • 対象講座
    「スポーツ」は地域振興の呼び水となるのか?
  • 日時
    2019年1月27日(日)15:00~17:00
  • 会場

    【会場】マーススポーツエージェント本社

    【住所】東京都中野区本町1-32-2 ハーモニータワー27F

  • 講師/ゲスト
    岩橋 潤二詳細
  • ナビゲーター
    仲島 修平詳細

 

スポーツビジネスを推進していく上で欠かすことの出来ないものが、公共施設を含めたスタジアム/アリーナをいかに活用していくか?という視点。

いわゆる“ハード”を有効活用するための制度として、指定管理者制度やPFIといった仕組みを理解し、スポーツという“ソフト”の最大化を図ることが、これからのスポーツビジネスに置いても重要となります。

第17期 MARS CAMPの第7回本講座にて、「『スポーツ』は地域振興の呼び水となるのか?」をテーマに、2時間の講座を実施!

少子高齢化社会により地域の活力低下が叫ばれる中、スポーツがいかに地域振興に価値を提供し、影響力を発揮していくべきか。株式会社ユナイテッド・ワンの代表取締役CEOである岩橋潤二氏が紐解きました。

 

―指定管理者制度はなぜ必要なのか

 

平成15年に地方自治法の改正によって、管理委託制度の廃止と指定管理者制度の新設が決まりました。当時の小泉政権は「官から民へ」という方針のもと、郵政民営化に代表される様々な行政改革を行っており、その一環として公の施設の運営を民間企業・NPO等の団体に委ねる指定管理者制度が生まれたのです。

その背景には、行政の経費削減と、市民サービスの向上を目指す意図がありました。民間活力をうまく生かすことで、効率的な管理運営による運営費の削減、質の高いサービスによる利用収入の増加、そしてニーズにあった事業実施による事業収入の増加などが見込まれ、行政の財政負担を軽減することができます。

従来の管理委託制度では、基本的に年間で数千万円の赤字となっていましたが、指定管理者制度の導入によって、赤字がゼロになった施設もあるようです。現在では、東京都内のスポーツ施設の大半はこの指定管理者制度を導入しています。

 

 

パラスポーツイベントで多くの集客に成功

まずはじめに岩橋氏は、町田市総合体育館の事例を紹介しました。町田市総合体育館は株式会社ギオンを筆頭に複数企業が協力して受託しており、岩橋氏も長年にわたって指定管理に携わっています。Fリーグ・ペスカドーラ町田のホームグラウンドでもあるこの施設は「民間で受託できる中では大規模かつ活用性の高い施設」だと岩橋氏は言います。

しかし、これだけ大規模な会場にも関わらず、2020年の東京五輪・パラリンピックの会場にはなっていません。コンパクトな大会を目指すという方針もあり、試合会場からは漏れてしまったのです。それでも町田市としてはこの機会を生かそうと、キャンプ地やホストタウンとしての誘致活動を行ないました。

2016年には、日本ブラインドサッカー協会とともに「ブラインドサッカー ドリームマッチ」というオールスターマッチを開催。そこでの成功経験を踏まえ、アルゼンチン代表を招いた「チャレンジカップ2018」にて、通常時は屋外で行なわれる競技として異例の取り組みとも言える、体育館に人工芝を敷いた「屋内」興行を行いました。

岩橋氏は「体育館の床に傷をつけないか、競技中にスリップしないか」といった心配もあったとのことですが、最終的には3000席のキャパシティに対して2800人ほどを収容し、成功に終わったといえます。来たる2020年に向けて「こういったイベントのノウハウの蓄積をすることによって、町田市にとってもブラインドサッカーのキャンプ地誘致を行う上でアピールの材料となる」と、有意義なイベントであったことを振り返りました。

また、同じく町田市総合体育館でパラスポーツイベントを行なった事例として、2017年、18年と2年連続で招致に成功した「ヒューリック・ダイハツ JAPAN パラバドミントン国際大会」も挙げました。しかし、パラバドミントンの大会を行なう上では、選手たちが車いすを使用しているため「選手の移動やホテルの手配などに気を遣わなければいけない」という課題もありました。

選手の輸送には町田市が所有している福祉車両を使い、選手たちに提供する食事は町田市の福祉団体の協力を仰ぐことによって、低コストに抑えました。

最終的に動員したスタッフは総勢570名ほど。まさに官民が一体となったこの取り組みが功を奏し、町田市は2018年5月、インドネシアのパラバドミントン代表チームの事前キャンプ地に決定したことを皮切りに、様々な代表チームのキャンプ地誘致を成功しました。このようなキャンプ地誘致は、さらなる運営ノウハウの蓄積と、スポーツ文化の醸成をもたらすことでしょう。

 

 

―地域振興に資するスポーツであるために

岩橋氏は、そのほかに指定管理に携わっている主な事例として、東京都江東区の有明テニスの森を挙げました。屋外48面のテニスコートと「有明コロシアム」を備える有明テニスの森は、日本のテニスの聖地と呼ばれており、2020年の東京オリンピック・パラリンピックにおけるテニスと車いすテニスの競技会場にも指定されています。その準備のために現在は大規模な改修工事が行なわれています。

有明テニスの森は、東京港埠頭株式会社と、公益社団法人日本テニス事業協会が共同で管理しています。その中で岩橋氏は「指定管理者の運営でも、国際大会ができることを示すことが必要」だと感じ、2016年、17年に日本で3番目に大きい大会である安藤証券オープンを有明テニスの森に招致しました。

また、ただ国際大会を開催するだけでなく、ファッションショーやエキシビジョンマッチなど、様々な企画を取り入れることで、指定管理者でも大規模な大会の運営ができることを示していきました。

岩橋氏は指定管理者という立場から、スポーツを「人と人との関わり合いを作れるコンテンツ」と捉えており、地域活性化に一役を買うことを指摘しました。しかしその一方で「現状では、まだまだその長所を発揮しきれていないのではないか」と、厳しい声も上げています。

それでは、指定管理者がスポーツで地域を盛り上げるには、どのような考え方が必要なのでしょうか。この問いに対して岩橋氏は「公共施設であるからといって、何でもかんでもやって良いわけではない。重要なのは指定管理者の中にどれだけ公益性があるか。もちろん経験なりアイデアがあれば収益を上げることはできるが、綺麗ごとを抜きにした公益性こそが重要だと思う」と、自身の経験をもとに見解を述べました。

 

 

―自責の念を持つことの重要性

最後に岩橋氏は、自身の座右の銘を2つとスポーツを仕事にしたい参加者へのラストメッセージで講義を締めくくりました。

 

一つ目は「やる、やらないではなく、やるか、もっとやるか」。

「僕の中でやらないという選択肢は持たないようにしています。困難に思えることでも、視点を変えたり、考え方をシフトしたりしながら、なんとか目の前の課題に取り組んでみようと思っています」

二つ目は「すべて我にあり」。

「つまり、自責の念を持つということです。人のせいにするのは簡単ですよね。しかし良いことも悪いことも、全て自分の行いによるものだと意識づけないことには、何事もうまくいかないのではないかと思っています」

 

スポーツの仕事で活躍したい方々へのラストメッセージとしては、

 

「あくまで僕の経験上の話ですが…僕も学生時代から紆余曲折ありました。その上で一つは、スポーツの仕事をしていきたい人たちには、その想いはもう…持ち続けて欲しい。色んな状況で思い通りにいかないこともある。僕も留学していた時にスポーツの仕事をやりたかったけど、就職先がなかった。で、選んだのはビザが下りるということで”寿司職人”をやりました。そして、その後に”てもみん”のアメリカ法人でマッサージ師をやってご飯を食べていた。ただ、スポーツへの想いはずっと思っていたので、今こうしてスポーツの仕事をやらせてもらっている。だから想い、動き続けることは絶対大事。

 

そしてもう一つは、ひょっとしたら僕の事を留学したからスポーツの仕事ができている特殊な人なんじゃないか?と思われたかもしれませんし、留学しないとスポーツ業界で働けないんじゃないですか?ともよく言われますがそんなことはありません。今日参加してくれてるMARS CAMP生のような強い想いを持っている皆さんであれば、さっき言った「やるか、やらないかではなくて、やるか、もっとやるか。」すべてはここだと思いますので、是非ここから頑張って頂いて皆さんのような方々と一緒に仕事ができればと思います!」

 

 


【第18期MARS CAMP 2019 Spring & Summer募集受付中!】4月8日(月)締切

「スポーツ業界で活躍する仲間を増やす」ことを実現し続けるコミュニティとして、
2010年からスタートした、スポーツビジネスで活躍するための最速講座。
現在ではスポーツ業界で活躍するCAMP生が600名を超えました。

必要な期間は6ヶ月。学校の順算ではなく、現場の逆算を体現し、
スポーツ業界内企業が「採用したい!」という人材の輩出機関です。

<情報+経験+接点創出>にこだわり
「スポーツを仕事にしたい!」
「スポーツ業界の人脈がほしい!」
そんな方々のための「本物のチカラ」を養う場所です。

▼第18期 詳細はコチラ

 


<第18期無料説明会 開催中!>

4月からスタートする「第18期 MARS CAMP 2019SS」について
詳しくご説明する「無料説明会」を開催します!
最新の就・転職情報も併せてお届け。
スポーツ業界最新就・転職関連情報を手に入れたい方もどうぞ!

▼説明会の日程確認と申し込みはこちら

(※『第18期 MARS CAMP』へのお申込みは、説明会への参加が必須ではございません。)

▼卒業生就職先一例も含めたインタビューはコチラ

講師/ゲスト

株式会社ユナイテッド・ワン
代表取締役CEO

岩橋 潤二

1973年8月10日、東京都生まれ。カリフォルニア州サンタアナ大学スポーツ医科学部卒業。

帰国後に大手スポーツクラブにて新規店舗開発を経験後、日本にはない欧米型総合スポーツクラブ『リバティヒルクラブ』の立ち上げに関わる。支配人として5年でクラブ事業を軌道に乗せた後は、様々な事業設立に関わるエグゼクティブディレクターに就任。

2013年から株式会社ユナイテッド・ワンを設立し、代表取締役CEOとして、

スポーツクラブ事業/メンテナンス事業/スパ事業/公共施設受託事業/海外事業/スポーツ家庭教師事業など多岐にわたる新規事業の企画、開発、立上げ及び事業買収の総責任者として、事業案件に関する戦略、書類作成からプレゼンテーション、実務における事業・収支計画やプログラム開発の指揮、監督を担う。

一般社団法人日本障がい者バドミントン連盟/一般社団法人スポーツ振興地域開発機構 事務局長も兼任

08年まで企業の外部人事部機能を担い、企業経営における人材開発・採用戦略の立案・導入を行う。08年よりMARS立ち上げ参画。アスリート・プロチームのマネジメント、スポーツイベントプロデュースなど、社内事業を横断的に従事し、10年より立ち上げた、「MARS CAMP」商品企画・広報も担当。新卒・中途共にスポーツ業界内企業の外部人事部として活動しながら、体育会系人材の就職支援やアスリートと企業を結ぶセカンドキャリア支援など、スポーツとキャリアをトータルでプロデュースする。