bjリーグとTリーグを設立。江島彰弘が作り上げる日本卓球界の未来

講座レポート

  • 対象講座
    『事業化』がキーワード。 リーグ・協会の仕事
  • 日時
    2019年2月28日(木) 19:30~21:30
  • 会場

    【会場】マーススポーツエージェント本社

    【住所】東京都中野区本町1-32-2 ハーモニータワー27F

  • 講師/ゲスト
    江島 彰弘詳細
  • ナビゲーター
    仲島 修平詳細

MARS CAMP第17期 2月の最終講座となった今回は、bjリーグ(Bリーグ)(現在は統合しBリーグ)の設立を行なったのち、世界的にも珍しい卓球リーグである「Tリーグ」を創設した江島彰弘氏をゲストにお招きしました。

現在江島氏は、人気選手も多い“卓球“という競技を事業化し、メディアプロモーション部で競技の普及と選手の強化を目指しています。

2018年10月には開幕2日間で1万人を動員し、話題を呼びましたが、そもそもTリーグはどのようにして誕生したのでしょうか。Tリーグの誕生秘話と今後の方針を明かしていただきました。

 

世界No.1のリーグを目指して

「卓球という競技自体はまったく知らなかった」と話す江島さん。五輪や世界選手権を通して、福原愛選手や水谷隼選手をはじめとしたアスリートの知名度は高いにも関わらず、生で試合を見たことがある人は少ないのではないでしょうか。その理由の1つに、彼らは日本よりも海外で多くの試合に出場していることが挙げられます。「もっと卓球の試合を生で見てほしい」という思いから発足したのがTリーグです。

Tリーグの発足にあたっては、3つの目標が掲げられました。

1つ目は「世界No.1の卓球リーグを実現すること」。様々なスポーツがリーグ戦を開催している中で、日本がNo.1になれる競技を考えたところ、卓球が選ばれました。Tリーグは、世界一開かれた地域密着型リーグシステムの実現を目指しています。

2つ目は「卓球のスポーツビジネス価値を高めること」。日本卓球協会と連携しながら、卓球のスポーツビジネス価値を高めていくことで、結果的にファンの数や選手のレベル、競技の魅力も向上することを目標としています。

3つ目は「卓球を通じて人生を豊かにすること」。競技の特徴として、子どもから高齢者まで楽しめるという点があります。現在はプロリーグという扱いではないですが、今後は年齢やプロアマの垣根を超えて、競技者全員がピラミッドに属し、実力に応じて上のステージに昇っていく形を構想しています。

卓球は以前、ヨーロッパなどにもリーグが存在していました。しかし、日本やアジアの選手が参戦するには、食事や時差などの様々な問題がありました。これがTリーグ発足の理由の1つでもあり、現在はアジア諸国からトップ選手が参戦しています。

Tリーグは男女各4チームで構成されています。「それぞれ4チームが集まるか不安だった」と語る江島さんですが、「この基準を下げるくらいなら作らない方がマシ」という確固たる決意のもと、結果的に質の高いチームを集めることに成功しました。

スタートはプロ化を視野にいれて構想されていたというTリーグ。そもそもプロとは何なのか定義は難しいですが、「選手たちがプロであること」「運営母体がプロであること」「興行で生活していること」。このうち1つでも欠けたらプロではないとすれば、Tリーグはプロリーグとは言えません。

現在はすべての興行をリーグが運営しているため、入場料はリーグの収益となっています。チームには分配金という形で収益を分配しています。

どのように進められていくかが不透明な中で、初めは参戦を見送った選手や、試合数を制限している選手もいたとのこと。そういった選手たちも、今ではほとんどが契約締結に至っており、選手にとってTリーグの存在は大きなものとなっているようです。

 

Tリーグのスポンサー獲得戦略

Tリーグのスポンサーメリットは、主に3つ挙げられます。

1つ目は、水谷選手や、現在は理事として在籍している福原氏などを起用したマーケティング活動が行なえることです。

2つ目は、全世代をターゲットにしたブランドイメージの醸成が行なえること。前述した通り、卓球は生涯スポーツであり、Tリーグでは6歳からの育成枠も設けています。将来有望な子どもたちや、若手選手を応援することは企業のイメージアップにも繋がります。

また、渋谷には「T4 TOKYO」という卓球が楽しめるレストランがあります。このレストランでは、卓球が“革靴でもできるスポーツ”として親しまれています。そんな卓球の最高峰リーグをサポートすることによって、新たなターゲット層を獲得できる可能性もあります。

3つ目は、世界やアジア圏での企業プレゼンスの向上が期待できること。卓球はアジアを中心に世界でも人気が高まっており、特にアジア戦略を広げたい企業にとっては、格好のマーケティングの場となります。

ファーストシーズンを終えて

 

開幕戦ではグッズの売れ行きが好調だったものの、江島さんは「目新しさから生まれた反響であり、その目新しさがなくなったときにどうしていくか。これから考えなければいけない」と冷静に先を見据えます。また、若者に絶大な人気を得ているTikTokが、初めてスポーツに投資をしたのがTリーグです。その背景について、江島さんは「SNS社会の中で、何か新しいことをはじめるにあたって、TikTokさんがマッチした」と明かしています。

試合の演出は、bjリーグの時にも意識していた“異空間”な雰囲気を作り出すことを意識しているとのこと。チケットの価格はこれまでの卓球のチケットよりも高額になっている場合が多いですが、価格に見合った価値を見出すことでリピーターの獲得を狙っています。

今シーズンは、平日のナイトゲームをメインに試合を開催していますが、土日に体育館を確保することが厳しいという背景もあります。平日の集客はスター選手の力に頼っている状況ですが、今後は試合数の増加や、各自治体からの要請に応じるなど、様々な形で進化を遂げていきます。

当日の受講生からのアンケートには

◎卓球というなじみのある競技の「事業化」という視点は、自分が興味を持つ他競技にも生かせると感じました!

◎そもそも新リーグを立ち上げる仕事とは?の部分をbjリーグとTリーグで2度ご経験されている江島さんから伺えて有意義な時間となりました。今後の展開にも注目します!

◎江島さん本人はバスケにご興味があるかと思いますが、そこでのご経験を卓球界に存分に還元されていて、ビジネスという面では自分が好きな競技以外の取り組みも見ておくべきだと実感しました。

など、卓球の新リーグ立ち上げの裏側やこれから求められる視点についても多くの学びを得ていたようでした。

 

そしてゲストである江島氏の「仕事の流儀」として頂戴した言葉は、

「楽しむこと」

その言葉の背景には「我々は興行をやっているので、そもそも主催者が興行を楽しんでないと観てても楽しくないと思うんです。プレーする選手や観客も含めて楽しんでもらうには、まずは自分たちが楽しむこと。そうする事で、興行の魅力を人に伝えられるようになると思っています。」というお考えがあることをご説明頂きました。

続けて「日本の卓球界には世界の卓球をリードできるだけのポテンシャルがある。どうやったら試合が盛り上がり、観客が喜ぶか。我々が追及することで世界の卓球の水準になるかもしれない。だからこそどんどん新しいことにもチャレンジしていきます。そして“ファンファーストの実現”に関しては、アスリートに最高のパフォーマンスを発揮してもらうことももちろんですが、そもそもファンの人に支えられているという視点も非常に大事ですし、そこに対する意識を変えていかないとビジネス化・興行化していかないと思っています。」

と、ビジネスとして競技と向き合う江島氏の視点を伺いすることができました。

 

そして最後に江島氏は、スポーツ業界を志す社会人MARS CAMP生に向けてエールを送りました。

「これまで2つの新しいリーグを立ち上げてきましたが、スポーツ業界はまだまだこれからだと感じています。企業スポーツから脱却して、リーグ化できる可能性をぜひ皆さんも模索してみてください。今日MARS CAMPに来ているような方は、すでに能動的に動かれているかと思いますが、縁が貰えるように業界の近くで動いていれば必ずチャンスはあります。一緒にスポーツ界をさらに良くしていければ嬉しいです」

 

2025年までにスポーツ産業市場を3倍にしていくためには、既成概念に囚われず、江島氏のように新しいことにチャレンジし続ける姿勢が求められます。

この日の講義を聞いた受講生も新たなチャレンジを忘れずに、業界の変革に向けたアクションをし続けることを期待していきたいですね!

 


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講師/ゲスト

一般社団法人Tリーグ
メディアプロモーション部 PR担当兼イベント事業部 チームリレーション担当

江島 彰弘

1975年生まれ、一般サラリーマンを経験した後、NBA、MLB、NFLのTV放送に従事。
また、フリーライターとして主にバスケットボールを中心として取材、執筆を行う。2004年に広告代理店入社。バスケットシューズメーカーであるAND1の広告を担当。アメリカよりAND1 MixTapeTourの招致に従事する。
翌年からbjリーグ開幕に伴い、株式会社日本プロバスケットボールリーグに入社し広報宣伝部マネジャーを務めた後、2016年bjリーグの閉幕に伴い、スポーツ映像配信業に従事。
Tリーグ開幕に向け2017年6月より現職。現職では、世界的にも珍しい卓球の事業化を図るリーグ作りに奔走している。

08年まで企業の外部人事部機能を担い、企業経営における人材開発・採用戦略の立案・導入を行う。08年よりマーススポーツエージェント立ち上げ参画。アスリート・プロチームのマネジメント、スポーツイベントプロデュースなどを経験し、2010年「MARS CAMP」創設。現在は社内事業統括、新規事業立案・推進を担う。スポーツ関連企業の外部人事部としてスポーツ×キャリアをトータルでプロデュースしながら、2020以降に事業化・プロ化を視野に入れる各種スポーツ中央団体の事業パートナーとして各種プロジェクトを推進中。