契約・移籍交渉から試合分析まで。選手に“夢”を与える仲介人の裏側

講座レポート

  • 対象講座
    クライアントはアスリート!選手を支える仕事
  • 日時
    2019年2月12日(火) 19:30~21:30
  • 会場

    【会場】ウィルオブ・スポーツ本社

    【住所】東京都中野区本町1-32-2 ハーモニータワー27F

  • 講師/ゲスト
    関根 圭祐詳細
  • ナビゲーター
    仲島 修平詳細

 

プロスポーツ選手の活躍の裏側には、選手の契約や移籍の交渉、メディア出演などをサポートする「エージェント」の存在があります。サッカー界では日本人選手の海外進出や、大物外国人選手の来日が相次いでおり、今後はますます仲介人の需要が高まることが予想されます。

そんな知られざる仲介人のビジネスモデルを、MARS CAMPの卒業生でもあるKDNスポーツジャパンの関根圭祐氏が明かしました。

エージェントは資格不要で誰でもなれる!?

 

関根氏は大学在学中にJリーグクラブなど、スポーツ関連のインターンシップやアルバイトを経験し、2015年に株式会社KDNスポーツジャパンがサッカー選手の仲介人業務を開始したと同時に、インターン生として立ち上げに従事しました。そして、翌年の2016年に正社員として入社し、(※)JFA仲介人に登録しています。現在は主にサッカー選手の契約や移籍に関する業務と、マネジメント業務を行なっています。

 

※選手の契約や移籍の交渉を行なうエージェントになるためには、日本サッカー協会(JFA)に登録しなければならない

 

KDNスポーツジャパンの特徴は、野球とサッカーの2つの競技を取り扱っていることです。また、日本とアメリカの間における選手の移籍交渉を潤滑に進めるために、両国にオフィスを設けています。

 

契約クライアントには、前田健太投手(ロサンゼルス・ドジャーズ)やダルビッシュ有投手(テキサス・レンジャーズ)、藤川球児投手(阪神タイガース)など、国内外で活躍する錚々たる選手たちが名を連ねています。

 

業務内容としては主に「エージェント」と「マネジメント」の2つがありますが、現在の比率はエージェントが約6割、マネジメントが約4割とのことです。主にエージェントは選手の契約や移籍の際に発生した契約金、マネジメントは選手がメディアなどに出演した際の出演料から、数パーセントを仲介手数料として得る形となります。

 

2015年3月まではFIFA(国際サッカー連盟)が「選手エージェント制度」を設けており、5エージェントになるためには資格を取得しなければなりませんでした。しかし、その制度が撤廃され、4月から新たに「仲介人制度」が導入されました。これによって、JFA(日本サッカー協会)に登録料を支払えば、誰でもエージェントとして協会に登録できるようになりました。

 

関根氏いわくエージェントは「使われる立場」ですが、選手から移籍や契約の交渉の際に使われるケースと、クラブから外国籍選手の獲得の際に使われるケースの2つがあります。2019年から、Jリーグではクラブの外国籍選手の登録が無制限(試合エントリーはJ1が5人、J2およびJ3が4人)になり、今後は仲介人がクラブの“外部人事”として機能するケースが増えていくことが予想されます。

 

現在、Jリーグの大半の外国籍選手はブラジル人か韓国人ですが、KDNスポーツジャパンではアメリカにも拠点があることの強みを生かして、今後はMLS(メジャーリーグサッカー)の選手の獲得にもチャレンジしていくとのことです。

 

手厚いサポート体制と、選手移籍の裏側

 

KDNスポーツジャパンでは現在、7人のJリーガーとクライアント契約を結んでいます。

 

千明聖典(SC相模原)
工藤壮人(レノファ山口)
高井和馬(レノファ山口)
小林祐介(柏レイソル)
中野誠也(ジュビロ磐田)
ンドカ・ボニフェイス(水戸ホーリーホック)
金子大毅(湘南ベルマーレ)

 

仲介手数料は選手の年棒の5パーセントと設定していますが、関根氏は「サッカーは海外に移籍できるチャンスが、野球に比べてかなり広がっている」とサッカーに魅力を感じており、最初の数年間はリスクを返上して“無銭”で選手をサポートをすることもあったと言います。

 

そして、KDNスポーツジャパンの強みとして挙げられるのは、エージェントやマネジメント以外にも選手のパフォーマンス向上を支える取り組みを行なっていることです。契約選手には毎試合、選手のプレーをまとめたハイライト動画と、細かなデータを記録したチェックシートをもとに、フィードバックを共有しています。

 

フィードバックは、選手によっては5分〜10分程度で終わりますが、関根氏は「1週間に1度フィードバックをするだけでも、選手のパフォーマンスは安定してくる。クラブができない部分をカバーしているので、選手からのリアクションも良い」と、その成果を語っています。

 

選手個人だけでなく、試合全体にフォーカスした「試合評価シート」も作成しています。このシートは、選手へのフィードバックはもちろんですが、関根氏が各クラブの傾向や特色を探るためのツールでもあるとのことです。

 

小林祐介選手は2017年12月に、中学時代から所属していた柏レイソルを離れ、1年間の期限付き移籍で湘南ベルマーレに加入しました。この移籍の背景には「1年でもいいから、曹貴裁監督(湘南ベルマーレ)のもとで湘南スタイルを体感して、柏に還元したい」という小林選手の意思があったと言います。

 

移籍希望の意思を双方のクラブに伝えたところ、柏レイソルは残留を希望し、湘南ベルマーレは獲得を熱望しました。ここでエージェントの交渉術が試されますが、関根氏は何度も交渉の場に足を運び、選手の意思を相手の“情”に訴え続けることで移籍が実現しています。

選手との信頼関係を構築するマーケティング

 

工藤壮人選手は2016年にカナダでプレーしており、KDPスポーツジャパンは当時からサポートを続けています。当時は海外組で元日本代表という実績に加え、自身の露出に積極的な工藤選手のメディア出演の交渉を行なっていました。また、彼が将来的に指導者を志望していることから、カナダでのサッカークリニックも企画しました。

 

このようなマネジメント業務は、獲得した案件に対する仲介手数料で行なっていますが、関根氏は「正直、あまりお金にはならない」と赤裸々な声を上げました。それを理解した上でも、選手の露出や付加価値の向上に尽力するのは「選手との信頼関係を構築する上で重要だから。契約選手が少ないからこそできることでもある」と、理由を明かしています。

 

そして、最近ではマネジメント業務の一環として「マーケティング」も行なっています。SNSの社会的影響が高まる中で、選手の広告としての価値を活かすために、メーカーやブランドとのタイアップを企画しています。

 

タイアップ企画に登場する商品はスパイクやコーヒータンブラー、ヘッドホン、スキンケア用品、自転車など。関根氏は「サッカー選手と全く相対さないものであっても面白いし、新しい風を吹かせられる」と、多種多様な企業とタイアップすることの魅力を語っています。

 

スポーツ業界に入ることがゴールではない

 

関根氏は20歳からインターン生として仲介人の業務に携わっていますが、「この仕事は50歳や60歳になった時に、より経験値が活きてくる。そういった意味では、20歳からキャリアをスタートできたことは大きい」と、自身にアドバンテージがあると考えています。

 

日本のサッカー界においては前述の通り、JFAに登録料を支払えば誰でもエージェントになることができます。登録後は、選手やクラブから選ばれるための競争が待ち受けているものの、エージェントへの門戸は常に開かれています。だからこそ、思い立った時にすぐ挑戦できる職業でもあります。

 

プロスポーツ選手は子どもたちに夢を与える存在ですが、その選手たちを支える仲介人の仕事は「夢を与える選手たちに、夢を与えること」だと関根氏は捉えています。KDNスポーツジャパンでは、クラブに対して選手の契約や移籍の交渉を行なう際に、選手側に立つことをポリシーとしています。選手ファーストのビジネスモデルで、まさに選手たちに夢を与えているのです。

 

最後に関根氏は、スポーツ業界を志す社会人に向けてメッセージを送りました。

 

「僕自身が仲介人をやっていて思うことが2つあります。1つ目は、嘘をついてはいけないということです。できないことはできないと正直に言い続けないと、この仕事はやっていけないと思っています。

 

2つ目は、MARS CAMP生の皆さんにはスポーツ業界に入ることをゴールにしてほしくないということです。僕自身は中学くらいからずっとエージェントになりたくて、新卒で運良く今の会社に入社することができました。ただ、僕はエージェントとしての大きな野望を持っているので、それを叶えるためのアクションを起こし続けなければいけないと思っています。

 

ここにいる皆さんは、もうすでにアクションを起こしていますが、スポーツ業界に入った先で何を成し遂げるのかが重要です。スポーツ業界に入ることだけにフォーカスしてしまうと、すごくもったいない時間になってしまうので、今日の講義がその先を考えるきっかけになれば嬉しいです」

 

目先の就活/転職活動への危機感から、自分自身が成し遂げたいことに対する目的意識が薄れがちになってしまうケースが散見される就職/転職市場の中で、スポーツ業界で成し遂げたいことに対して信念をもって活動することが出来れば、夢を叶えることができる事は関根氏が証明してくれています。

 

就職することがゴールでなく、成し遂げたいことを実現させる為に、信念をもって活動するこれからの受講生の姿に期待したいですね!

 


【第19MARS CAMP 2019 Fall&Winter 募集受付中!】9月30日(月)締切

「スポーツ業界で活躍する仲間を増やす」ことを実現し続けるコミュニティとして、
2010年からスタートした、スポーツビジネスで活躍するための最速講座。
現在ではスポーツ業界で活躍するCAMP生が600名を超え、開講から10年目のシーズンを迎えました!

「全18回(情報)×実践型インターン(経験)×600名越えスポーツ業界人脈(接点)」
MARS CAMPは更に学生/社会人のスポーツ×キャリアを支える仕組み!

 

業界で活躍するために必要な情報と経験と接点を6ヶ月という短期間で一挙に紡ぐための、第19期会員の受付開始を決定しました!

▼第19期 MARS CAMP詳細はコチラ

 


<第19期開催前無料説明会 開催中!>

10月からスタートする「第19期 MARS CAMP 2019FW」について
詳しくご説明する「無料説明会」を開催します!
最新の就・転職情報も併せてお届け。
スポーツ業界最新就・転職関連情報を手に入れたい方もどうぞ!

▼説明会の日程確認と申し込みはこちら

(※『第19期 MARS CAMP』へのお申込みは、説明会への参加が必須ではございません。)

▼卒業生就職先一例も含めたインタビューはコチラ

講師/ゲスト

株式会社KDNスポーツジャパン
JFA仲介人

関根 圭祐

1993年5月生まれ。
大学在学中、Jリーグクラブ、スポーツ・エージェンシーで、インターンシップ、アルバイトとして活動。
2015年株式会社KDNスポーツジャパンがサッカー選手の仲介人業務を開始と同時に、インターンシップとして、立ち上げに従事。
翌年、株式会社KDNスポーツジャパンに入社、同年、JFA仲介人登録を完了。
主に、サッカー選手の契約・移籍関連業務とマネジメント業務を行っている。

08年まで企業の外部人事部機能を担い、企業経営における人材開発・採用戦略の立案・導入を行う。08年よりマーススポーツエージェント(現:ウィルオブ・スポーツ)立ち上げ参画。アスリート・プロチームのマネジメント、スポーツイベントプロデュースなどを経験し、2010年「MARS CAMP」創設。現在は社内事業統括、新規事業立案・推進を担う。スポーツ関連企業の外部人事部としてスポーツ×キャリアをトータルでプロデュースしながら、2020以降に事業化・プロ化を視野に入れる各種スポーツ中央団体の事業パートナーとして各種プロジェクトを推進中。