地域の生きがいとなるために。プロスポーツチームの存在価値。

講座レポート

  • 対象講座
    Jクラブの地域浸透度
  • 日時
    2013年4月30日(火) 19:30~21:30
  • 会場

    TKPスター会議室 西新宿 ホール9

    東京都新宿区西新宿1-19-6 山の手新宿ビル9F

  • 講師/ゲスト
    中井川 茂敏詳細
  • ナビゲーター
    仲島 修平詳細

みなさんの住む地域にプロスポーツチームはありますか?
そしてその地域にとってのプロスポーツチームとはどのような位置付けになるのでしょうか。

現在、全国各地にさまざまなプロスポーツチームが点在していますが、その本拠地を置く地域によって、スポーツチームの色や位置付けも変わってきます。

今回の講義では公益社団法人山形県スポーツ振興21世紀協会(モンテディオ山形)常務理事兼GMの中井川氏にお越し頂き、Jリーグクラブ唯一の公益社団法人の展開と地域におけるスポーツクラブの存在意義をお伺いしました。

講義冒頭、中井川氏が抱くモンテディオ山形の印象について「チームを生きがいにしているというようなファンの方々が多いチーム。高齢者のご夫婦が一緒に練習を見に来てくれたり、試合以外の日でも1日グラウンドで楽しんで貰っている。他のチームよりも地域との関わりは特殊なのかなと思う」と分析頂きました。

現在はJ2に戦いの舞台を移しているモンテディオ山形。しかし、GM直々に「再度J1に復帰して、県民の方々の期待に応えたい」と力強く宣言頂き、CAMP生に対しても「スポーツ業界を目指す方々とお話を出来るのを楽しみにしています」とのお言葉も頂戴しました。

中井川氏がGMを務めるモンテディオ山形。1998年に発足し、今年でクラブ設立15周年になります。今年のクラブスローガンは「信」。J2屈指の練習環境が整っているクラブであり、「ファンの皆様と絆を深めていきたい」とは中井川氏。

また、Jクラブ唯一の社団法人としてクラブ運営をしていることも特徴の1つ。株式会社との大きな違いの1つとして、社団法人は公益と認められる部分の利益で50%以上を占めなければなりません。つまり、モンテディオ山形の事業のほとんどが、その地域にとって有益なモノとして還元されている必要があるということ。
その為の具体的な取り組みや、社団法人と株式会社の比較を交えたクラブ経営の違いについて中井川氏の視点に基づきご紹介頂きました。

公益社団法人としてクラブ運営を行う事のメリットとデメリットについても赤裸々に言及頂き、スポーツチーム経営においても様々な形がある事をCAMP生一同再認識したご様子。

また、モンテディオ山形が特に力を入れているのが小中学生への普及。
地域への普及活動を行うコーチを3人採用し、全県隈なく回る体制を整え、年間6000人の子供たちにサッカーを教えるなど、公益的な仕事をどんどん増やしている事が地域から高く評価されています。

こうしたモンテディオ山形の地域貢献の事業の指針となるのがスポーツ振興基本計画。
この計画に則り、スポーツを取り巻く諸条件の整備を担っているのがモンテディオ山形でもあります。プロサッカークラブでありながら、女子駅伝の選手を2名採用するなど、サッカーだけに縛られる事無く、スポーツの普及に力を注ぎ、高齢者の方の健康サポートなど、スポーツを通して交流する機会の提供にも積極的にチャレンジ。

「見る・支える・交流する」スポーツの支援がポイントであり、その分野での貢献度は高く、県からもモンテディオ山形があるべき理由や地域に与える好影響について認識されています。

チームの取り組みや、地域におけるモンテディオの存在意義についてお伺いしつつも、やはり公益社団法人クラブの具体的な収入の比率や支出などの財務体系も気になる所。

特に、J1からJ2にカテゴリーを落としてしまった事による収益構造の変化は、各クラブにとって死活問題です。しかし、モンテディオ山形の場合は「自分たちで稼ぐ能力はJ2に落ちても変わらない」そうで、その理由についても中井川氏より聞き出すことに成功。
中井川氏いわく「J1を経験したことで、フロントもJ1レベルになっている」事が要因の1つ。また、地域と密接に関わってきた事を証明するかのように、モンテディオを応援する山形県内35の全市町村から補助金を頂いている事など、行政とも深いつながりが生まれています。

こうした事例ひとつひとつに、サッカーの試合以外に地域へチームの価値を提供する事の意味と効果が表れています。

数ある地域活動の事例の中でCAMP生が思わず唸ってしまった事例が、県内の小学新1年生を対象にしたモンテディオ山形特製ランドセルカバー配布の事例。他にも山形名物花笠まつりに選手全員が参加するなど、モンテディオが実施している地域貢献活動は年間500回を超える数となっています。

プロスポーツチームでありながら、総合型地域スポーツクラブともいえるような事業をしているモンテディオ山形。こうしたチーム方針を選手たちも理解し、クラブ全体で地域に貢献している事が、モンテディオ山形がこの地域に存在する理由でもあります。

こうした地域貢献の形はチームの地場営業とも連動。
山形県内の某銀行では、「モンテディオ山形応援定期預金」というサービスが定着しつつあり、この企画はなんとチームが勝つ度に年間の金利が0.25%上がるという仰天の企画。

こうした「地域にとってのスポーツクラブ」という存在を証明しつつも、中井川氏は今後のリアルのパートにて「地域の方々にとって、絶対に欠かせない存在にならなければならない。そのためには、我々の商品(試合)の価値を高めることが必要で、そのためにはスタジアムがすごく重要。スタジアム構想では、山形市にサッカー専用スタジアムを作ろうと市長自ら動いてくれている。これを実現させていきたい。」と更に愛されるクラブ作りへ余念はありません。

そんな中井川氏が考えるプロフェッショナル仕事の流儀は「本気になって仕事に当たり、成果を残す」事。
「最終的には成果を残すことが重要。経営黒字化であり、チームでいえば勝利だと思う。それを残すためには本気になって仕事に当たることが大事。」とご自身の経験を踏まえお話頂きました。

その上で、スポーツ業界が求める人材や必要な素養については「すべての仕事をやるという覚悟が必要ではないかと思う。好きなところだけやるという訳にはいかない。一般企業と同じで組織であり、人事異動もあります。いろいろな仕事を体験してもらうことが重要。」というお言葉を頂きました。

講義を終えた受講生からは

●唯一の社団法人が運営するチームとしてのメリット・デメリットを聞けて良かった
●地場営業・県との連動など、盛りだくさんの内容で勉強になった
●地域への根ざしを深めるための取り組みの数々が、独特なものが多く印象的
●地域資源の活かし方が抜群に上手いクラブなのだと感じました
●スポーツの仕事に就くためには“すべての仕事をやるという覚悟が必要”という言葉が強く響きました

など、地域とともに活動してきたスポーツクラブを教材に、多くの学びがあったご様子。

そして講義最後には、スポーツ業界で活躍することを目指す受講生に対し、ラストメッセージとして
「Jリーグ20周年の年、日本のスポーツ文化を創り出す・定着させるような力を身に着けて貰いたい。その為にもビジネス力は絶対に身に着けておいて下さい。プラス人間力もつけていってほしい。お客様と直接接することが多い仕事なので、ビジネス力と人間力を身に着け、MARS CAMPでの勉強を生かしてほしい。」

と、今後スポーツを仕事にする為に、MARS CAMPの活用の仕方を含めたアドバイスを頂戴しました。

Jクラブ唯一の社団法人として、地域に根差した活動を展開し、「モンテディオが生き甲斐」と言われるまでに存在感を高めているモンテディオ山形。ここまで県民から求心力を高められたのは、中井川氏をはじめ、チーム関係者全員の地道な努力があります。
Jクラブの地域浸透度というテーマにぴったりな、モンテディオ山形GM中井川氏のお話は、受講生の心に深く染みわたっていったのではないでしょうか。

 


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講師/ゲスト

公益社団法人山形県スポーツ振興21世紀協会
(モンテディオ山形)
常任理事 兼 ゼネラルマネージャー

中井川 茂敏

1986年~1997年 NEC山形サッカー部、モンテディオ山形の強化・運営を担当。チーム運営の責任者として強化を図り、東北リーグ昇格(1989年)、JFL昇格(1994年)等、チームの基礎作りを行った。
 在任中は、石崎信弘(現杭州緑城(中国)U-18監督)をはじめ手倉森誠(現ベガルタ仙台監督)、手倉森浩(元モンテディオ山形コーチ)、シジクレイ(現ガンバ大阪コーチ)、山崎哲也(現大分トリニータコーチ)等、現在Jリーグのクラブで活躍中の監督、選手や高橋健ニ(現モンテディオ山形コーチ)、太田雅之(現モンテディオ山形ジュニアユース庄内コーチ)など山形で長く活躍した選手の獲得を担当した。
 2007年10月30日よりチーム統轄の責任者としてゼネラルマネージャーに就任。モンテディオ山形のトップチームの強化および下部組織の育成強化のために、強化体制固めをし、2008年にはJ1昇格を実現した。

08年まで企業の外部人事部機能を担い、企業経営における人材開発・採用戦略の立案・導入を行う。08年よりマーススポーツエージェント(現:ウィルオブ・スポーツ)立ち上げ参画。アスリート・プロチームのマネジメント、スポーツイベントプロデュースなどを経験し、2010年「MARS CAMP」創設。現在は社内事業統括、新規事業立案・推進を担う。スポーツ関連企業の外部人事部としてスポーツ×キャリアをトータルでプロデュースしながら、2020以降に事業化・プロ化を視野に入れる各種スポーツ中央団体の事業パートナーとして各種プロジェクトを推進中。