GAORA社が語る。スポーツメディアが企業に価値をもたらすリアル

講座レポート

  • 対象講座
    感動お届け人!スポーツメディア
  • 日時
    2014年11月21日(金) 19:30~21:30
  • 会場

    TKP新宿ビジネスセンター 11Fスカイ会議室

    東京都新宿区西新宿2-3-1 モノリスビル11F

  • 講師/ゲスト
    山根 健詳細
  • ナビゲーター
    仲島 修平詳細

錦織選手の世界での活躍がお茶の間に届けられ、気運高まるテニスはもちろんのこと、野球・アメリカンフットボール・プロレス・モータースポーツ・サッカーなど、幅広いジャンルを展開するGAORA。

そのGAORAにて編成とプロモーションも担当されている山根氏は実はMARS CAMP第5期生!その山根氏をお招きし、スポーツの持つ魅力をどのように最大化しているのか?スポーツの届け方や、いかにして多くの方にスポーツを見てもらうのか・・・編成とプロモーションの仕掛けのリアルをお届けします。

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そもそもGAORAとは・・・CS放送やケーブルテレビ向けの多チャンネル配信の中のスポーツ専門チャンネルとして放送をしている会社です。

日本全国の総世帯数は約4950万世帯。そのうちCSテレビ契約数は約1000万世帯。その中でGAORAを見れるのは約750万世帯。「実はTOPはアニメなんですよね」と山根氏がいうように根強いアニメ人気に会場もザワつきました。実はその約750万という世帯数は関西一円の世帯数とほぼ同じ数。即ち、その数と同じ世帯数が日本全国でのGAORAの視聴者になりえるということです。

スポーツ有料チャンネルの中でGAORAといえば、「関西発のスポーツ専門チャンネルであること。」と山根氏。「阪神タイガースが目玉コンテンツでありながら、吉本新喜劇や、関西の学生スポーツも中継しているので、関西に拠点を置くスポーツチャンネルというイメージを持たれています。あとコンテンツの特徴はやっぱりテニスが強いです。スポーツを放送する有料チャンネルが10チャンネル程度あるが、WOWOWさんを除き、テニスを扱うのはほぼGAORA。また、1つの会社で、1つのチャンネルを運営している会社という点でも珍しいかもしれません。」と、ならではの特色を語っていただきました。

収益ポイントは番組配信事業がメイン。
地上波との大きな違いは広告収益の割合が低いということ。視聴料収入が主な収入で、視聴者からの収益をケーブルテレビやスカパー社と視聴者の獲得件数に応じてレベニューシェアするような座組みになります。
また、新たな事業でいえば今後はモバイル・Eコマース・マルチユースといった展開も。
「GAORAの場合には自社で番組をつくっているものと、放映権を仕入れているものもあるので、コンテンツの量とコンテンツの中身次第でマルチユースの展開が変わっていくことが事業上の課題」と挙げられました。ユーザーの新たなライフスタイルと放送権の二次利用の落としどころはこの先も要注目です。

編成制作部の仕事・・・
「編成制作の仕事とは、メディアにおいてはお金を使う部門で、番組をつくったり、中継したり。24時間の献立をたてるのが編成の仕事です。で、それを発信したりプロモーションするのもうちでいえば編成制作部がやります。」とは山根氏。

ここからはその仕掛けをたっぷりお届けしてきたいと思います。

そもそも番組が放送されるまでの流れとは?気になる方も多くいらっしゃると思います。「編成が決めた競技の放送をするために、権利を仕入れ、1回戦からやるのか?準決勝からやるのか?細かなところを決め、その放送をするために制作予算を割り振り動いていく。
ちなみに中継に対する費用が高くなるのはやはり放映権料が高いもの、あとはカメラの台数が多くなるものや、時間が長くかかるもの、遠くに届ける必要があるものもそうです。」
と、そもそも何の競技を取り上げるか?という視聴者にとっても非常に気になるところをお答いただきました。

「広告主への価値提供というところでいけば、広告価値は地上波に比べると小さくなってしまう。ただ、スポーツが好きな方!というセグメントがかかっている点を強みに、相性が良いクライアントへセールスしています。あとは競技に紐づいていますね。テニスでいえば富裕層の視聴者の方々が多いので、そういう人たちのライフスタイルにあった単価が高い商品なんかは相性が良いですね。」とスポーツメディアで企業に価値をもたらすリアルにも触れて頂きました。

錦織フィーバーに湧くテニス界。ATPツアーを長年届けてきたGAORAとしての伝え方。
「11月の番組表は9月には決まっています。これは地上波との違いですね。地上波は1週間前に番組表が世の中に出ていくイメージです。(大枠はきまってますが…)

例えばツアーファイナルズだと、実際何時に始まるのか?これによりどの程度放送枠を確保するのかが変わる。また、GAORAの場合には再放送も大きな特徴。
でも、9月の時点で日本人選手・錦織選手のファイナルズ出場はまだ確定していなかった。また地上波をはじめとする他局の動向もケアする必要があった。そうなるとGAORAで見てくれる人をどの程度増やせるのか?がポイントになってきます。」とテニスを伝える外部環境と内部環境を踏まえて細部に渡って山根氏は解説。

「例えば、錦織選手の出場が決まった段階で・・・」このあたりは参加者の特権ということで(笑)

自チャンネルでしか放送できないようなコンテンツを展開していく
「今回の錦織選手のファイナルズ出場においては、反響はすごく大きかった。反響そのものはSNSの反応や接触率(※地上波でいう視聴率)で見てもわかりやすい。準決勝のジョコビッチ選手との対戦では、地上波で放送していたにも関わらず、いつもの数倍以上の反響があった。前例がないので何ともいえないのですが、地上波での中継がなければ更に5~10倍は跳ね上がった可能性がありますね。WOWOWさんが全米オープンを放送した時に加入が16万件とれたと公表されていましたが、あり得ない数字です。
GAORAとしては、早々に放送が決まっていたので、地上波がやる・やらないに関わらず力を入れて届けていくことをプロモーションする。地上波が放送する場合には、GAORAなりのコンテンツの違いをしっかりと発信すること。これが肝です。」と段階の違いにおける仕掛けの術をお披露目。(※このあたりも参加者特権です(笑))

「ちなみに今回力を入れたのは地上波CMでのプロモーション。踏むべきタイミングだったので。あとはガイド誌。ケーブルテレビとかスカパーさんとか、会報誌があったりテレビガイドの表紙に選手を起用してもらうような仕掛けもします。注力施策はGAORAを見られる環境にある人に見てもらうための施策です。あとは専門誌。テニスをプレイしている人たちに、錦織選手の状況をしかと伝えていく。プロモーションのポイントとしては、プラットフォーム側にもプロモーションしてもらえるかどうかがポイント。スカパーさんだったり、J:COMさんだったり。それが大きなインパクトに変わっていく。あとは大会期間中のアクセスが集中するので、HPのサーバーを増強したりとか(笑)収益構造上はGAORAのHPから入会するわけではないが、来訪してくださった方向けにきちんと情報は提供しないといけない。」良いものを良いと思ってくれる方にいかにして届けていくのか、また、訪れた方に有益な情報を抜けなく届けきる準備にも言及いただきました。

「接触率は見えないが、加入は増えましたし、選手関連の広告もつきました。でも、収益を上げるのは難しい。理由は、テニスの場合には人気が選手に紐づいているのと、試合時間が読めないので。スポーツチャンネルという点でいえば、テニスをやっている期間は他に放送できる番組が減るので、このあたりのバランスを配慮していくのが仕事ですね。」と限られた時間の中でいかにして最大化するのか、全体像も踏まえて考察。

あとはシーズンごとのコンテンツ。
冬場は野球がなくなり、変わってバレーボールが入ってくる。視聴者も女性層が流入してくる。あとはレッスンものの番組とか、解説放送とか。視覚や聴覚障害の方々に対しても情報を届けていく番組も必要なので、そのコンテンツとしてレッスンものの番組もやってます。」と何の競技を届けていくかの優先順位をお話しいただきました。

「ちなみに、学生スポーツやマイナースポーツの場合には広告案件という形で放送することも多くあります。大会の協賛社自体が放送をしたいという意向があれば、それをメディアで放送するという流れです。言い換えればスポーツ団体が主催するイベントをメディアで放送したい場合には、1時間程度の中継であれば数百万円で回収できるので、実は実現可能なんですよ。」と主催大会をメディアに載せるための実現可能性についてお伝えすると、参加者は驚きの様子を隠せないようでした。

また、プロモーション上の難易度については
「GAORAでは自社でつくるものと、海外から仕入れるものの2つがあるが、プロモーションにおいては、国内で展開するものに関してはイベント会場での展開がしやすい。
海外コンテンツにおいてはほとんどそれができないので、パブリックビューイングの開催をしたりなんかはありますね。
あとは過去の映像なんかを地上波で使う時には、ロゴの表示をしっかりと出していただくとか。タイムリーに反響は図れないので何ともいえないですが、実はこれが一番宣伝になっていると思いますね。
ちなみに地上波のテレビCMの影響力はそれも分かりやすいです。『あ、この日はやっぱり来てるな!』という数になっていますね。媒体価値は非常に大きいです。
ただ、額も大きいので、プラットフォーム側としっかりと連動していけるかどうかが肝ですね(笑)」

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そんなGAORAにとっての今後の展開上のキーマンやいかに。
「つくるという意味でいえば、放送する対象になる協会・チーム、そしてマネジメント・エージェント。その人たちの協力がないとそもそも番組ができない。
稼ぐ部分でいえば、広告主・加入者・プラットフォーム。
コンテンツの人気によって原価が上がるので、競合の存在にもベンチマークしながら進めていく。
日本では加入が取れる=収益が上がるのは、間違いなく日本人選手!日本人は日本人が大好きなんです。そういう意味では、個人的にはバドミントンなんかは面白くなってくるのかなと。松岡修造さんと錦織選手の関係性と同じように、オグシオさんでスポットライトが当たり、新たな選手も出てくるという画も視聴者はわかりやすい。小さいときからやっていて、男女の競技人口が多いというのも魅力かなとは思っています。五輪競技という意味でも。
これも個人的な意見ですが、日本の方々は自分が好きなスポーツがだいたい決まっているので、他のスポーツをあまり見ない印象があります。選ばれ続けているのは、1番は野球、2番はゴルフ、3番にサッカー。スポーツをテレビで見ている人=年齢が高い。50代より若い人はテレビでスポーツを観ている機会は減っている傾向にあると思います。40~50代の方々が今後定年を迎えた際には、より余暇の時間が増えれば今のスポーツがもっと強くなるんじゃないかなと思っています。」

今の仕事で社会に影響力を与えたことをわかりやすく実感したのは?という質問には
「今回の錦織選手のフィーバーですね。他局がGAORAに取材しにきたりとか、GAORAの人間が地上波のテレビでリポーターとして登場したりとか、求められていることを強く感じましたね。あとは、世の中的に中継があるのかないのか、読めないような場合にも早々放送することを決めたりすると、ユーザーの方がものすごく喜んでくださる時なんかは直接声が届くことも多いので実感します。」と嬉しそうに語る山根氏が印象的でした。

そんな山根氏の仕事の流儀は
①スポーツや特定の競技に興味のない人を振り向かせる
①自分自身のやりたいことは何かを問い続ける

「スポーツ好きじゃない人に興味を持ってもらったり、観てもらうためにどうするのか。
また自分が何がしたいのかを持っていないと仕事は面白くならない。もちろん収益を上げていくことは大前提ですが。メディアの制作部門の場合、評価が非常に難しい。そこって結局自分が何をやったか。これが仕事になるのだと思う。」とメディアに限らず、自分で形にしていくシーンが多いスポーツの仕事全体にも言える考え方をご教示頂きました。続けて、そんな山根さんが求める人材は『実行力』がある人材。
「アイデアを世に出るところまで何が何でもやりきる力が本当に必要。」
その前の段階までできる人は社会には沢山いて、『こんなことやった方がいいのにな…』みたいな。で、実際これを完成させる人は本当にすごい。メディアにも、スポーツ業界にも必要な力だと思います。今の我々の課題は、テニスは年中発信しているのに、それを社会に認知されていないこと。なので、こんなことを認知させられるような人が必要ですね!」

また、そんな山根氏が日ごろどんなところにアンテナを張っているかというと、
「テレビを見たり、スポーツ現場に行くことはもちろんですが、実は業種としてベンチマークしているのはJクラブの売上上位チームだったり、地上波ラジオとかは見ています。ラジオってメディアとしては施策をひねり出している時期ですし、Jクラブなんかは同じような社内構成や規模感だということを、僕はMARS CAMPの中で講義を聴いているうちに理解したので、この辺は特に気にしています。」とのこと。

参加者の声として・・・
◎スポーツ専門チャンネル・スポーツメディアの商品のつくり方、届け方がよく分かった!
◎スポーツを仕事にしたい自分だったが、世の中にスポーツが届けられる環境をまったく理解していなかったことに気付いた。
◎商品づくり、プロモーションのお話でしたので、業種に限らず学びになった。
◎感動を届けて頂くメディアのお話でしたが、自分としては感動を生み出すスポーツチームの仕事に興味があったので、メディアに届けて頂くための具体的な手法が分かり、やるべき事が明確になった。
◎講師の山根さんがMARS CAMP生だったので、改めて業界で活躍するためにこういった機会をどう活用すべきかというイメージがついた。

総じて、業界への入社ではなく、業界で活躍するために必要なことを学べたという声がとりわけ多かったことが印象的ですね。

最後に、スポーツの仕事に興味・関心のある参加者にラストメッセージ。
「ここに来られているような方々は、何らかの形でスポーツが好きな方が多いと思います。
であれば、とにかく仲間を増やしてほしい。「この競技って見たら面白いのに!」「何でスタジアムにいかないんだろう?」と言う人が特にマイナースポーツには多い。だとすれば、自分のまわりの人たちを巻き込むことが普及の第一歩でもあり、それがノウハウになり、ビジネスになる。また、スポーツを仕事にしたいという方に関しては、特にスポーツ業界は人脈の構築がすごく大事だと思います。ここに来られている講師や同期の方たちとのネットワークを広げていくことがとにかく大事だと思いますので、是非頑張って下さい!」

と、自身も参加者だったことを踏まえ、参加者の気持ちを理解した上で浸透度の高いメッセージを頂戴しました!

 


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講師/ゲスト

株式会社GAORA
編成制作部編成担当 兼 プロモーション担当

山根 健

2009年立命館大学卒業、同年4月株式会社GAORAに新卒入社。CATV営業部にて全国各地のケーブルテレビ局への導入営業などに携わる。2011年東京支社へ転勤、スカパー!への営業業務に携わる。
2012年10月よりMARS CAMP 第5期に参加。
2013年大阪へ転勤、毎日放送テレビスポーツ部に出向、スポーツ中継ディレクター、ニュース素材制作などに携わる。
 同年10月、GAORAへ帰任。主に番組制作の立案、番組宣伝業務(番線VTR制作、プロモーション企画の実施)に携わる。

08年まで企業の外部人事部機能を担い、企業経営における人材開発・採用戦略の立案・導入を行う。08年よりMARS立ち上げ参画。アスリート・プロチームのマネジメント、スポーツイベントプロデュースなど、社内事業を横断的に従事し、10年より立ち上げた、「MARS CAMP」商品企画・広報も担当。新卒・中途共にスポーツ業界内企業の外部人事部として活動しながら、体育会系人材の就職支援やアスリートと企業を結ぶセカンドキャリア支援など、スポーツとキャリアをトータルでプロデュースする。